SNSで拡散される凄惨な襲撃映像
事件は金曜日の夜、モスクワ郊外のクロッカス・シティ・ホールで起きた。この大規模なホールは2013年に米大統領就任前のドナルド・トランプがミス・ユニバース大会を開いたり、エリック・クラプトンもコンサートを開催したりしたこともある有名な施設だ。
この日、6200席がある「パビリオン3」で有名ロックバンド「ピクニック」のコンサートが始まる15分前、迷彩服を着た４人が自動小銃で観客らを次々と撃ち倒しながら劇場に侵入してきた。
SNSでは、観客が撮影したとみられる、人々が悲鳴を上げて逃げ惑う映像が出回っている。これに加えイスラム国（IS）系列のサイト「アマーク通信」は、戦闘員4人の写真や、現場で撮影したとする動画を公開した。
その動画ではコンサートホールへと続く二重扉内で武装した男が銃を乱射。カメラ外で人が撃たれとみられ、床には血が飛び散り、そばでは別の男がピクリとも動かない男性の首に何度もナイフの刃を当てて引く様子と、大量の鮮血が映し出されていた。
「映像につけられたアラビア語の字幕には『情をかけるな』『アラー・アクバル（神は偉大なり）』と書かれています。男たちは爆発物も使い建物は爆発、炎上しました。24日夜までに137人の死者が確認されましたが、火や煙に巻かれた人も多く、身元確認は難航しそうです」（大手紙外報部記者）
出演予定だった「ピクニック」は1978年結成のロックバンド。ファンの年齢層が高く、犠牲者は中年以上の人が多かったとみられる。
地元メディアなどによると、来週35歳を迎えるはずだった男性は、誕生日プレゼントとしてチケットを送ってくれた妻とともに殺害された。モスクワ近郊の町の美人コンテストでかつて優勝した女性弁護士（41）も、夫と2人の子どもを残し犠牲になったという。
