〈65歳の平均は約50秒〉片足立ちができないなら、疑うべきサルコペニア肥満、認知症…体の老化状況を把握する、診断の仕方
抗加齢医学研究に長年携わってきた伊賀瀬道也氏は「一生歩けるためには、体のバランスをとることが重要である」という。そこで今回は自宅で簡単にバランス力をチェックできる方法と、バランス力がない場合に疑うべき病気について教えてくれた。
『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』(PHP新書)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』#2
軽度認知症の10パーセントが認知症になる
私たちは、認知機能と片足立ちの時間との関連も検討しています。具体的には、抗加齢ドックを受診した人のなかで、明らかに脳血管疾患の既往がない390人を対象としました。
私たちのドックは健康な人が受診しており、認知症の人はいませんが、正常と認知症の中間と考えられる軽度認知障害と評価される人はいます。軽度認知障害と判定され、何もせずに経過をみると、10パーセントが認知症になるといわれます。
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私たちは、正常と判定された人と、軽度認知障害と判定された人とで、片足立ちができる時間を比較しました。その結果、正常なグループでは平均50秒間できていましたが、軽度認知障害のグループでは40秒程度になっていました。
MRI(磁気共鳴画像)で脳の縮み具合(萎縮度)をみると、萎縮度が強い人は片足立ちの時間が短くなっています。そこで、外来を受診中のアルツハイマー病の患者さんに片足立ちの時間を測定してもらうと、平均して20秒未満という結果が出ました。
文/伊賀瀬道也 イラスト:瀬川尚志 写真/Shutterstock
百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする(PHP新書)
伊賀瀬 道也
2024/5/17
1,210円(税込)
232ページ
ISBN: 978-4569857091
「人生100年時代」には、介護が不要な状態を保つ「健康寿命」を延ばすことが人生を楽しむ鍵になる。それには自分でしっかり歩けることが肝要だ。
抗加齢医学研究に長年携わってきた著者は、歩くための力には「脚力」と「血管力」があるという。本書は、百歳まで歩ける人になるために、脚力と血管力を鍛えるエクササイズや、ウォーキング事例を紹介する。
脚力を鍛えるためには、「かかと上げ下げエクササイズ」「片足立ちエクササイズ」「ゆるジャンプ」「座ろうかなスクワット」などがおすすめ。
血管力については、ヒハツ、シナモン、ルイボス茶などを摂って毛細血管を強くすること、ニンニク、ナッツなどを摂ったり、ウォーキングや軽いサイクリング、エアロビクスなどの有酸素運動をしたりして大血管を強くすること、などを推奨している。
ウォーキングについては、著者が考案した「ニコニコ歩き」のほか、「インターバル速歩」「パワーウォーキング」「俳句ウォーキング」などを解説している。
日々の心がけ一つで、いつまでも歩ける人になれる。