闇が深い? 声優ビジネスに迫る
番組で密着を受けたのは、宮城県南三陸町出身の彩さん(31)。
高校卒業と同時に上京し、東京都庁の公務員として働くという、多くの人が憧れるような安定した暮らしを開始した。
しかし、就職した年の3月に東日本大震災があったため地元に戻ることを決意し、もう一度公務員試験を受け直し、地元の職員になった。
そして職員として6年間働く中でふと、「いつ何があるかわからない状況で、自分はやりたいことをやってこなかった」と思い立ち、27歳のとき、声優になるために再び上京をした。
しかし声優業界は、毎年約3万人もの志望者がいると言われる業界で、デビューできるのはほんの少し。しかも、もし声優になれたとしても、年収100万円に満たない人が4割以上という厳しい世界だ。
彩さんは昼は派遣会社で働き、夜は2年で約100万円かかる養成所に通いながら、さらに別で演技のワークショップにも通うなど努力を続けた。
だが、4年半かけても努力が実らず、最後と決めていたオーディションにも不合格。それでも諦めきれず、親の反対を押し切って、ずるずると東京に残る決断をしたのだった……。
声優になれる確率が極めて低い中で、高い月謝を払って夢を追い続けている人たち。
彼女らの様子に番組を見た人からは〈見てて思ったけどさ、プロダクション養成所とかワークショップも結局ビジネスなんだね〉〈声優ビジネスってなんだかなぁ〉〈彩さんが金づるになっているように見えてしまった〉〈東京は色んな養成所ビジネスがあるな〉など否定的な声があがった。
確かに番組を見ただけだと、夢をエサにして若者を囲っているように見えてしまわなくもない。
しかし、「声優を目指す業界は、そこまでネガティブなものではありません」と話してくれたのは、現在31歳の男性Mさんだ。彩さんと同じように、27歳から養成所に通いだし、今は会社員として働く傍らで、とある声優事務所にも所属している。