「味千ラーメン」が人気を獲得できた理由は?
差別化を図るという点においては、味を追求する以外にないだろう。「ラー麺ずんどう屋」を中国人の舌に合わせ、そのうまさを伝える巧みなマーケティング活動(ローカライズ)を行うスペシャリストが必要なのだ。
実は「味千ラーメン」は1994年に一度台湾に進出するが失敗に終わっている。現地で設立した合弁会社によって販売されていたラーメンは、味や質がまったく異なるものだったのだ。
その後、香港の実業家が日本で食べた「味千ラーメン」に感動し、その味にほれ込んで現地で広めたいと熱心に店づくりに励んだという経緯がある。
当時、日本と香港の経営者は互いに信頼しあい、マーケティングや商品開発は中国のパートナーに、ラーメンそのものの味の管理は日本法人にと役割を明確に切り分けた。その相互補完が現地の需要を開拓するに至ったのだ。
逆風が吹く中国でのラーメン店の成功は、その一杯に熱を込められる店長や経営者と出会えるかにかかっているだろう。
取材・文/不破聡 撮影/集英社オンライン