「薬物を肯定するようなファッションは控えてほしい」
同校は2015年12月、入学者減少から赤字経営が続き「存続危機」が報じられた過去もある。今回の件に関して学校側の“言い分”はどうなんだろうか。取材を申し込むと今堀校長が対応した。
「大麻吸引に関わっていたのは海岸で吸引していた(退学処分となった)3名だけです。謹慎処分の生徒については『間違ったかばいかたをした』からで、詳細についてはまだ在校している生徒になりますし、控えさせてください」
――4月22日付で退学処分になったということですが、吸ってしまった理由はどのように聞いていますか?
「指導部とか担任が聞き取りしていますけど、ざっくり言うと『気を紛らわすため』というようなところですね」
――2001年に79名の処分者をだした大規模な薬物事案があったと思いますが、それ以降校則などが厳しくなった面はありますか?
「(本校は)薬物がメインではないんですけど、社会的に若者に関わる問題に取り組んできました。そんななか薬物が一番、表面化しやすい。2001年のときに大きな学びが我々もあったので、教材とか講演という形で子どもたちに伝えております」
――大麻に関わる禁止事項で、大麻柄の洋服やピアスなども禁止されているとお聞きしましたが、それはどういった理由があるのでしょうか?
「基本的にそれ(大麻)を肯定的に見るようなことをしてほしくないということです。ファッションとして扱うということはそれを肯定的に見ているということが考えられますし、やはり薬物で仲間を失うということを考えたときに、薬物を肯定するようなファッションというものは控えてほしい。
だから自宅の部屋で着飾る分には、そこまでは我々も立ち入ることはできませんが、学校に着てきたり、寮や下宿などの他の生徒が出入りするようなところではやめてほしいと生徒に理解してもらってます」
――これらの決まりは校則として決めている?
「着てきたからといってそれで退学とか謹慎とかではないですけど、ちゃんと理由を説明して理解してもらっています。また、それら(大麻柄の洋服)は寮には置いておかないで、自宅に送り返してもらったりもしていますね」
――生徒の中には「ただの柄なのでそれはやりすぎではないか」という声もありましたがどう思われますか?
「それは直接そういう形で生徒が訴えてきたら話をしながら理解してもらうということになるとは思います。最初は『何で?』という生徒は当然いましたが、説明しながら理解してもらってきています」
――少年が大麻事案に関わることが増えてきていることについてはどのように思いますか?
「我々も今回の件であらためて、スマホでSNSを使って非常に簡単に薬物が手に入る状況があるということがわかりました。Xなどで情報を集めて、その後は発見しづらいテレグラムを使いながらやり取りをしているなどの実例を見ると、間違った形で関心や興味を持つとそういう情報がどんどん手に入るという今の社会状況の危険性があるかと思っています。
大麻を肯定するサイトも多くありますし、偏った情報が入ってきてしまうインターネットの特性、危険性もあると思っています。だから我々としては薬物防止講演もそうなのですが、正しい情報で峻別を含めて学んでほしいと思っていますし、そういった教育が必要になっていると思います」
今堀校長の思いが生徒や学校関係者に届いているかは不明だが、これまで多くの高校中退者や不登校生徒たちの“受け皿”となってきた余市高だけに難しい問題でもあるようだ。
※「集英社オンライン」では、学校の“校則問題”や“いじめ問題”について情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班