「マリファナマーチ」を開催し続けるわけ
「マリファナマーチ」とは、毎年5月に世界各都市で行われる「大麻合法化(自由化)」を訴える世界同時イベントだ。日本では2001年から開催されていて、今年も5月4日に開催された。根岸さんは第1回開催から参加を続け、現在はマリファナマーチ東京の主催を務めている。また、政府や政治家に対してのロビー活動を実施するなど、大麻合法化に向けてのさまざまな活動を行っている。
そんな根岸さんが大麻合法化を目指す理由のひとつが、「大麻が大好きだから」だという。
中学2年生の頃、親の都合でオーストラリアに転居した根岸さんは、現地の学校でタバコを吸っていたときに。帰国後、日本の大麻をめぐる状況を目の当たりにして、海外と日本の違いに再び愕然としたことが、最初にマリファナマーチに参加したきっかけだった。
「ちょうど帰国した年に第1回マリファナマーチが開催されていて、参加してみるとヒッピーのような人がたくさんいました。『ピースフルでいいな』と思った反面、大麻合法化を目指す以上は内々のパーティーのようなイベントではなく、外に向けて発信する運動にすることが大事だと感じ、次の年から主催するメンバーとして参加することにしました」
さらに、根岸さんが大麻合法化を訴える理由がもうひとつある。「医療用大麻」の解禁だ。
現在、カナダ、ウルグアイなどの国は嗜好・医療用ともに大麻を合法化しており、アメリカでは37の州と首都ワシントンで医療用大麻が、18の州とワシントンで嗜好用大麻が合法化されている。現在は先進国を中心に病気の治療に使用されたり、医薬品の開発に使われたりなど、大麻の成分を医療に使うことが当たり前になりつつある。
「実は、私の妻がリウマチを患っているのですが、副作用がきつく合併症を起こす可能性もある薬を飲んでいます。ピーク時には毎日14錠も飲み、他の病気にもなってしまいました。同じように病気で苦しんで、効くかどうかもわからない薬を飲み続けている人が日本に何十万人といる反面、海外では医療大麻の研究が進み、さまざまな病気に対しての効果が実証されているのです。だからこそ大麻を1日でも早く合法化し、医療分野で利用していくべきだと考えています」
しかし、日本の大麻取締法第四条の「何人も次に掲げる行為をしてはならない」という条項のひとつに、「大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること」が書かれているため、たとえ医療目的であっても大麻を使用することができないのが、今の日本の実態である。