適正価格を見極めるための眼力を養うファミリー会食

上野氏は2001年のZoff立ち上げ時から、経営者の父(現 インターメスティック 取締役会長)と長男の剛史氏と共に事業の中枢を担っていた。

Zoff下北沢店(1号店)に次いでオープンしたZoff原宿店(2号店)の店長を務め、その後はスーパーバイザーをはじめさまざまな角度から現場を主体として店舗の売上拡大に貢献してきたという。

当時から、Zoffというブランドの成長と共に歩んできたからこそ、2021年に社長交代してからも「事業との向き合い方は本質的に変わらない」と上野氏は述べる。

Zoff代表取締役社長・上野博史氏
Zoff代表取締役社長・上野博史氏
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そんななか、創業家として会社を一から大きくしてきた上野家には、ある文化が根付いているという。

「上野家では定期的に『ファミリー会食』をする習慣があるのですが、そこでは『適正価格』について毎回議論し合うんです。事前に正確な価格は知らされていないため、お店の料理やサービス、ホスピタリティーなどから、『この店の価格はいくらなのか』を当てようと考えるんですよ。

何年も繰り返していくうちに、自然と適正価格を見抜けるような『感覚値』を養うことができました。飲食業界はメガネ業界以上に競争が厳しいなかで、リピートするお店の特徴やプライシング、他店に屈せずに勝ち残っている理由を学ぶために、今でも実践している習慣のひとつですね」(上野氏、以下同)