ヌートバーの広告起用でブランド全体の売上が2桁成長に

こうしたなか、メジャーリーガーのラーズ・ヌートバー選手を起用した広告は、Zoffのブランド認知やイメージ向上に大きく貢献した。

2023年のWBCでは、侍ジャパンの一員として活躍したヌートバー選手。

Zoffの広告が自身初の企業CM出演だったそうで、「広告代理店からの提案を即断して、アメリカでのCM撮影に立ち会った」と上野氏は語る。

「近年は生活者の趣味・嗜好が細分化しているため、マーケティングで成果を上げる難易度が非常に高くなっていると感じています。そのような状況でも、ヌートバー選手のサービス精神や持ち前の愛嬌はみんなから愛され、コロナがあけて新しい世界に向かっていこうという風潮の中、日本代表の活躍が日本人のこころを勇気づけたヌートバー選手がその立役者ということもあり、そんな存在をZoffも目指していくという意図でZoffのCMにふさわしいと思い、オファーに至りました。

結果として、ヌートバー選手の広告キャンペーン期間においては、ブランド全体の売上が2桁成長につながるなど、一定の成果を得ることができたのです」

「Zoff」がメガネからサングラスに活路を見出す理由…WBCのヌートバー効果でブランド全体の売上が2桁成長に_3

徹底した現場主義は今でも継続。社長自ら店舗を巡る

現在、Zoffは国内外に300店舗以上を展開している。

規模を拡大した今でも大切にしているのは「徹底した現場主義」だという。“博史の部屋”と銘打ち、隔週ごとにエリアを決めて、社長自ら現場を回っているそうだ。

そこで現場の課題を抽出し、本部での全社ミーティングで共有することで、課題の解決を図るサイクルを作っているとのこと。

「エリアマネージャーと共に、現場の売り場や接客を見たり、店長とコミュニケーションを取ったりすることで経営課題が見えてきます。また、店舗のスタッフと食事の席で交流を図ることで、信頼関係の構築にもつながるため、店舗巡回は重要な仕事になっていますね。

これからもベンチャー精神を忘れずに、事業の成長にコミットできればと思っています」

取材・文/古田島大介 撮影/佐賀章広