Zoffがサングラスに注力する理由とは?

Zoffは2021年から「Eye Performance」を掲げ、リブランディングを進めてきた。

メガネを“マイナスをゼロにするもの”から“マイナスをプラスに変える”存在としての価値を見出し、メガネ選びの提案力や訴求力を強化したのだ。

「もっと自由に・楽しく・気軽にメガネをTシャツの様に毎日着替える社会をつくること」

創業当初の原点に立ち返り、新たにブランド戦略を定めたのである。メガネ業界全体の市場規模を見ると、Zoffの創業当時は6000億円程度だったものが、現在は5400億円規模に縮小しており、商品単価も低下している。

それでも、「新たな需要喚起や販売の切り口がつかめれば、市場の伸びしろはまだまだ期待できる」と上野氏は話す。

「メガネを買い替える理由には「なくした、ぼやけた、壊した」の3つがあり、購買周期は3年に一度と言われています。我々はスリープライス(フレーム+レンズ+ケース込みの価格)を設定し、高品質かつ適正価格を打ち出した業界のパイオニアとして市場を牽引してきました。

しかしながら、競合によるビジネスモデルの模倣や会社規模の拡大によるベンチャー精神の欠如も災いして、ブランド本来の遊び心を近年失っていました。最も大きな課題はお客さまの購買マインドを変えることができていないのが一番の課題だと認識しています。その課題を解決するため、紫外線量の増加が危惧される社会環境において、サングラス商材の強化をしていくことが、メガネ以外の購買ニーズを取り込み、さらなる事業の発展に寄与すると考えています」

「Zoff」がメガネからサングラスに活路を見出す理由…WBCのヌートバー効果でブランド全体の売上が2桁成長に_2

上野氏によると、既存のメガネという商材だけではショッピングモールに訪れる顧客の1%程度にしかアプローチできないそうだ。

それがサングラスであれば、99%にリーチできる商材になり、収益機会の増大につながるわけである。

「Zoffはおしゃれで低価格なメガネ、“イメチェン”できるメガネという印象が強いですが、サングラス商材の売上シェアは高まりつつあります。いかにメインの商材へと育てていけるかが事業成長の鍵を握ると考えています」