詐欺師の末路
丸山 詐欺をするほうに目を向けると、だいたいは悲惨な目に遭っていますね。
ナオキマン バレて捕まるとかではなく、ですか?
丸山 詐欺をしている人間はめちゃくちゃタタキに遭うんですよ。
ナオキマン タタキ、というのは強盗事件ですよね。詐欺で集めた金を別の犯罪者に狙われてしまう、と。
丸山 そうです。詐欺に限らずですが、違法な手段で稼いだお金や脱税で貯めたお金というのは、奪われたところで警察に届けることができないじゃないですか。だからそういうお金は遠慮なく奪ってもいいという考え方が、裏社会には結構あるんです。
ナオキマン なるほど。合理的というかなんというか。
丸山 詐欺をやるような人間の周りには、だいたい他にも裏社会の住人がいますからね。この間までチンピラみたいだった奴がいきなり高い時計をつけたり高級車に乗ったり羽振りがよくなると、だいたい美人局とか薬物を使ってハメられます。
詐欺師の最後はだいたい奪われる側に回るんです。
ナオキマン 犯罪者の食物連鎖ですね。
これから危ないのはドバイ
丸山 そういう犯罪者同士の共食いがこれから起きそうなのがドバイです。
ナオキマン 確かにドバイは今、お金を持っている人が集まっていますよね。
丸山 まず詐欺というのは、始めたときは周りに獲物がたくさんいるんです。だけどその獲物たちを狩っていくと徐々に狙える相手がいなくなる。そうすると詐欺師は次のステージを探します。
ナオキマン それこそ先ほど話したような、新しいテクノロジーや流行りのものを使った手法に変えていくわけですね。
丸山 そうです。けれどそんないいやり方が常に見つかるわけではないし、そもそも獲物は新しく見つけなければいけないわけですよね。元々いたコミュニティでは詐欺はできなくなっているので。
何が言いたいかというと、詐欺師当人はどんどん次のステージに進んでいるように感じていても、それって逃げているのと同じなんですよ。
ナオキマン 今いる場所をどんどん追われているような。
丸山 そうやって逃げて逃げて、最終的に行き着くのが現代ではドバイなんです。各国で獲物を狩って狩って、太った状態の詐欺師がドバイに集結しています。ご存知のとおりドバイは個人所得税がかからないということで、さまざまな国から資産家が集まっていますよね。
ナオキマン 詐欺師にとっては楽園みたいなところということですか。
丸山 今まではそうだったんですよ。でももう共食いのフェーズにきているみたいですね。
ナオキマン すごい、詐欺師同士の騙し合い。映画みたいですね。
丸山 そういった詐欺の元締めで、その世界で影響力のある人がいて。その人のコミュニティに入っていれば安心だよね、という親分みたいな人が身内食いを始めているんですよ。そうなるとほんの少し残っていた裏社会の秩序みたいなものも、もう崩壊していっている。
これはつい最近聞いた話なので、この本が出る頃にはドバイの裏社会情勢も大きく動いているかもしれません。
ナオキマン 本当に映画の世界ですね。詐欺師同士の最終戦争が起きようとしているわけだ。めちゃくちゃ面白いです。
丸山 逃げようにも、ドバイを出たらもう行く場所はないですからね。それくらい、最後の楽園のような場所だったので。
文/Naokiman Show 丸山ゴンザレス