詐欺師は流行に敏感
丸山 M資金や山下財宝のような話は今聞くと「そんなのに引っかかる人いるの?」と思われるかもしれませんが、最近多い仮想通貨関係の詐欺も将来的にはそう思われるのかもしれませんね。
ナオキマン 「新しい仮想通貨ができるから投資しない?」と言ってお金を集めるようなやり口ですか。
丸山 そうですね。裏社会には新しいもの好きが多いのでそういうのに引っかかる人も結構いるようですが、よくよく話を聞くと構造としてはネズミ講みたいなものなんですよ。
ナオキマン 誘った相手がさらに次の人を誘って……と増えていく。
丸山 そうです。今、「1000円でこれを買って、誰か友だちも誘ったら2000円になるよ」って言われたら誰でもネズミ講だって気づきますよね。
だからそれを、「これこれこういう仮想通貨を開発していて、今のうちに投資するとこれくらいになって戻ってくるんだけど投資家を集めてて、さらにそこにはこんな保障があって」とそれらしい話でコーティングするわけです。
ナオキマン 確かに流行りのワードを使った詐欺っていつの時代もありますよね。都市伝説界隈だと、新紙幣が発行されるときに預金が封鎖されるって言われるんですよね。
丸山 2024年には日本でも新紙幣が発行されますね。
ナオキマン そうです。なので今のうちに預金を別のところに動かしておきましょう、っていう詐欺もあると聞いたことがあります。
丸山 もう話題になることは全部やるんですよね。そこで注意したいのが、物を知らない間抜けな人が詐欺にかかりやすいかというと、必ずしもそうでもないんですよね。
ナオキマン 仮想通貨などは、ある程度アンテナを立てていて早めに興味を持った人のほうがかかったかもしれませんね。
丸山 ええ、そうです。それに知識があったりやっている仕事のレベルが高いからこそ詐欺に気づかないケースというのもあるんです。僕の知っている例だと、とあるお金持ちの人が知り合いから「この会社に役員として籍だけ置いてくれたら毎年1億円入ってくる」って言われたらしいんですね。
ナオキマン え、それで置いたんですか?
丸山 そうなんです。というのも、その人はとある事業で大成功したあと今は半引退していて、デイトレードで毎日何億、何十億と動かしているような人なんです。
僕らからすると籍を置くだけで1億なんてそんな話あるわけないだろと思いますけど、そういう人からすれば「ふーん、1億ね、わかったよ」と感じてもおかしくない。
ナオキマン 確かに1億円が僕らにとっての1万円くらいだとしたら、ちょっとお得な話だからまあやっておくか、となっても不思議ではないですね。
丸山 それで「ちょっと経費がかかるんで立て替えてくれませんか」みたいな形でちょくちょくお金を出させられたりして、何年かしてから詐欺だと気づいたという。
ナオキマン 扱う金額が大きすぎると正常に判断できなくなるのかもしれませんね。
丸山 M資金にせよ山下財宝にせよ、そういう構造だったんだと思います。しかもそうやってお金を持っている人というのは、新しいものに興味を持ったりチャレンジしたりする人が多いですからね。
ナオキマン だからこそ成功者になっている、という人も多いでしょうからね。