株主・大手企業優遇の政策運営

また、岸田首相は上記の投稿と同じタイミングで「岸田政権発足後『新しい資本主義』を提唱、『成長と分配の好循環』の実現が私の使命と思い定めました」と投稿していた。岸田首相は就任直後から“新しい資本主義”と再三にわたり口にしていたが、結局のところ“新しい資本主義”とは何なのか。藤井氏は岸田首相が目指した“新しい資本主義”の概要を次のように推測する。

「総裁選の際に『分配』という言葉を多用して“新しい資本主義”を提唱したことから考えると、日本の考古学者・原丈人氏が提唱していた“公益資本主義”、つまりは株主や経営者だけではなく、労働者や下請け企業などにも公平に売上が分配される “社中分配”が、適切に行われる資本主義を目指していたと思われます。

しかし、岸田首相は総理着任後からしばらくしても『分配』という言葉を使うことはほぼ皆無。そして、株主を重視した“株主資本主義”を推進する議員から構成される委員会を構成しました。ただ、これでは当初掲げていた“新しい資本主義”の内実とは完全に異なります。株主・大企業を重視した内閣となり、国民経済を豊かにする政策運営はしていません」

所得増のために必要な約束

それでは改めて所得増を実施するために岸田首相がすべき約束(政策)とは何なのか。藤井氏は消費税減税、社会保険料の引き下げ、ガソリン税凍結の実施を提案する。

「加えて、国内で満たされていないさまざまな需要、例えば、被災地の復興需要、産業投資需要、人材投資需要、科学技術投資需要、防災投資需要、インフラ投資需要、エネルギー投資需要、国防投資需要を満たすための大規模な経済対策を実施すべきです。

トランプ大統領やバイデン大統領は、合計1千兆円規模のこうした経済政策を行なった結果、コロナ禍による経済ダメージを乗り越えました。日本でも同様に国民のためにお金を使う政策を実施すれば所得増につながります」

それでは、なぜ岸田内閣は消費税減税、大規模な財政出動を実施しないのか。