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“異次元の少子化対策”を掲げてから1年

2023年1月、岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を掲げ、その具体的施策として3本柱を据えた。

●児童手当など経済的支援の強化
●学童保育や病児保育、産後ケアなどのサービス拡充
●育休中の給付率や男性の育休取得率などをアップさせる働き方改革の推進

まもなく異次元の少子化対策を口にされてから1年が経とうとしているが、一向に子供を産みやすく、子育てしやすい社会になったという実感はわかない。結局のところ、異次元の少子化対策が打ちだされたことで民意はどう変化したのか。

「子育て罰」を可視化する扶養控除制度…親が稼ぐほど子どもが損をする日本の教育費の行く末_1
少子化対策の方針を記者会見で発表する岸田文雄首相 写真/共同通信
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「子育て世帯に寄り添わない政治」

出版社勤務で結婚願望がある20代女性は「異次元の少子化対策として実際に何をやったのかイマイチわかりません」と答え、「『異次元の少子化対策を進めてくれるなら安心して結婚できる』とはならないと思います」と語った。

また、児童手当を高校生まで拡充することに伴い、高校生(16~18歳)がいる世帯に対して、高校生1人につき所得税から38万円、住民税から33万円控除される。いわゆる“扶養控除”の縮小を与党が検討していることがわかった。

小学3年生の子供を育てる清掃業の40代男性は「今後子どもが高校進学したら、予備校に通わせたりなどお金が今以上に必要になります。児童手当の拡充はありがたいですが、それで扶養控除を縮小しては本末転倒ではないですか」と憤る。そして、「現在子育てしている世帯に寄り添わない政治をしていては、『子供を持ちたい』という若い人は増えないのではないでしょうか」と疑問を口にした。

異次元の少子化対策に限らず、子育てに関する岸田政権の政策に首をかしげるどころか、怒り心頭になっている人は少なくない。こうした机上の空論のような異次元の少子化対策に対して経済学者はどのように評価しているのか。経済学に精通している京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡氏に話を聞いた。