60代のラーメン職人が挑む「湯上がり中華そば」

なかなか遊ぶところや飲食店のない地方の温泉地でおいしいラーメンを提供することで人が集まり、お店とともに地域が活性化するのではないかというのが、早坂さんの考えだ。

1992年創業の「五福星」2006年に移転して現在の店舗に
1992年創業の「五福星」2006年に移転して現在の店舗に

大都市ではないので一日50~80食ぐらいでよく、するとワンオペないし二人で回せるお店が可能になってくる。つまり、奥さんのてる子さんと二人で回せるお店ができるのである。この先、店を続けることで苦しんでいくのは誰もが悲しい。早坂さんは60代になってからのラーメン職人の新たな生き方を提案しようとしている。
その名も「湯上がり中華そば」だ。

場所は宮城県内のとある温泉地。

その温泉地には5~6年前まで一軒のラーメン屋があったが、やむなく閉店してしまい、この跡地でお店をやらないかという提案が早坂さんにあったという。この後、このお店は火事で全焼してしまう。一時この話は途切れたが、早坂さんは隣の空き家を買い、そこに店を建て、火事の跡地に駐車場を作って「湯上がり中華そば」のプロジェクトをスタートさせようとしている。

「未来の見えない世界にしたくないなと。これからの個人店の生き残り方を提案していくことで、お世話になったラーメン業界への恩返しをしていきたいなと思っているんです」

広い駐車場はRVパーク(車中泊施設)にし、キャンピングカーの集まる場所にしたいと考えている。
キャンピングカーの拠点になり、温泉とラーメンを楽しめる新しいスポットを作ろうという考えだ。

「周りのエリアにはワイワイ人が集まっています。ここもきっとそうなれるはず。町おこしの意味合いも含めて、新たな展開にチャレンジしていきたいなと思っています」

「五福星」は8年前から“朝ラー”を提供するなどしており、風呂上がりに食べてちょうどいいラーメンとは何かも知り尽くしている。すでに朝・昼・夕で異なるスープを使い、時間帯に合わせて味わいを変えている。

「例えば、ビジネスホテルであっても朝食・ランチ・ディナーとメニューを分けていますよね。24時間同じものを作って威張っているのはラーメン屋だけだなと(笑)。温泉帰りに食べるラーメンであれば、それに合わせた味づくりが必要だなと考えています」