暑くなりきる前にそうめんの需要拡大を狙う
創業370年を超える醤油の老舗メーカー、ヤマサ醤油株式会社は、壜入りストレートつゆのパイオニアだ。
同社からラーメン風そうめんを楽しめるストレートつゆ「ヤマサ麺屋一杯」シリーズが発売された。
そうめんといえば、夏の食べ物というイメージだが、なぜ本格的な暑さの前の春先からこのつゆを発売開始したのだろうか?
同社では、まずそうめんがどのように食べられているかを、徹底的に調べたという。
調査の中で、1年間のうちにそうめんを10回以上食べる人が26%、4~9回は28%と約半数の人は年間で4回以上の頻度で食べていて、年齢に関わらずどの年代もよく食べられていることがわかった。
「年代が上がるほどそうめんを召し上がる頻度は高いですが、予想以上に若い世代でもそうめんが召し上がられていることがわかりました。また、そうめんを食べたいときはどんな気持ちかを調査したところ、調理を簡単に済ませたい、軽い食事で済ませたい、短時間で作れるという回答が多く、そうめんは涼しいだけのイメージではなく、手軽なメニューとして認識されていました」(濱田さん)
そうめんの食べ方についても調査されたが、「つけ」が圧倒的に多く、いつもと違う味で食べてみたいと人が63%という結果に。
「調査によって、お客さまがそうめんの新しい味、食べ方を求めていらっしゃるということがわかりました。さらに家庭内だけなく、そうめんの外食専門店がオープンし、季節問わず人気を博しています。そうめんのニューウェーブが来ていると感じ、もっと新しい食べ方を簡単にできたら、さらにたくさんの方にそうめんを食べていただけるのではないかと思ったんです」(濱田さん)
そうめんの販売量は気温が高くなる7月が最盛期で、4~6月はまだ需要が少なく、冷凍うどんに負けている。そうめんの需要を伸ばすには、本格的な暑さの前の4~6月から需要を喚起できる、しっかり食べられる満足感が必要なのだと同社は考え、今までにないストレートつゆを開発することになった。
「冷凍やチルドうどんは、つけつゆで食べるスタイルからさまざまな味のつゆをかけたり混ぜたりして食べるスタイルまでバリエーション豊かですが、乾麺のそうめんは、濃縮つゆを希釈するか、ストレートタイプの和風つゆしか選択肢がありませんでした。今までにないストレートつゆの味わいをご提案することで、新たな食べ方が生まれて、乾麺市場が底上げされ、ともに成長できたらという思いもあり、麺屋一杯の開発に取り組みました」(西谷さん)