地域で愛される人気ラーメン店が突然の閉店
今年に入り、世界的な物価高騰による原材料費、水道光熱費の値上げによって毎月のように「ラーメン屋 閉店」のニュースが流れてくる。
東京商工リサーチの発表によると、2023年1月~8月のラーメン店の倒産(負債1000万円以上)が28件(前年同期比250.0%増)に達し、前年同期の3.5倍と大幅に増えている。そのなかのひとつ、神奈川県横浜市金沢区にある「ラーメン 神豚 六浦関東学院前店」もまた、10月29日に11年の歴史に幕を下ろした。
地域で長く愛されてきた「神豚」を運営する株式会社大津家は、社名のとおり神奈川県・新大津で「横浜家系ラーメン 大津家」(2009年9月創業)を運営してきた会社だ。大津家はそのセカンドブランドとして二郎系の「ラーメン 神豚」を2011年6月に横須賀で創業し、今回閉店する六浦関東学院前店は2店舗目として、2012年1月にオープンした。
代表の飯島徹夫さんは横浜家系ラーメンの名店「壱六家」で修行した後、「大津家」をオープン。見た目はクリーミーながら豚骨の骨感をじんわり感じるオールドスタイルな仕上がりで、落ち着いた味わいの家系ラーメンとして人気のお店だ。
ある日、営業の合間にチャーシューを煮た豚のダシや野菜の端材などを豚骨と煮込んでみると、二郎風のスープが仕上がったという。このスープに合わせるタレやトッピングなどを研究し、二郎系の一杯が完成した。これが「神豚」オープンのきっかけとなった。
六浦関東学院前店はもともとは、家系ラーメンのお店があった場所だった。しっかりと常連客のついていたお店だったことや、関東学院大学のキャンパスがすぐ近くということもあり、二郎系にはピッタリの物件だろうということで出店を決定した。
大学生向けに学割を用意し、味玉や麺増量を無料にしたこともあり、たちまち学生たちの間で好評を博した。なかでも、味玉は人気すぎて昼には売切れになるほどだったという。
「オープンから半年は苦戦しましたが、その後は軌道に乗って経営も安定してきました。常連の多いお店で、週2ぐらいで通ってくれる人もいましたね。コロナ禍になる前に売上がピークに達していました」(小寺将宏店長)
しかし、その後、コロナが大打撃となった。