暖かくなると活動は活性化

さらに、暖かくなると被害は一層増えるとの予測も。トコジラミの駆除を専門に扱う「有限会社トーメー」の當銘武夫部長はこう説明する。

「実はトコジラミは気温が18度を超えると活動をし始める昆虫なので、今は家に侵入したとしても暖かいところに隠れて繁殖がしにくい時期なのです。また、現在は多くの人が長袖、長ズボンを着て寝ているため噛まれていませんが、5月以降は被害が増え、駆除件数も爆増すると予想しています」

トコジラミの駆除の様子(提供/有限会社トーメー)
トコジラミの駆除の様子(提供/有限会社トーメー)

自宅でできる防虫対策について當銘氏はこうアドバイスする。

「大事なのは、家に持ち帰った後の対処です。海外観光客などが多く泊まりそうな宿泊先や外出先から帰ってきたら、まず衣類は洗濯して乾燥機にかけて熱し、気になるようならカバン類はゴミ袋などの袋に入れて1週間ほど保管することを意識したほうがいい。『トコジラミホイホイ』などで予防し、そもそも繁殖させないことも大事です」

いったんトコジラミが蔓延してしまうと駆除料金は一般家庭だと10万~20万円となるという。殺虫剤を使って駆除する方法もあるが、東京都ペストコントロール協会幹部は言う。

「昭和期に使用が承認された成分をそのまま使っている殺虫剤は、耐性をもったトコジラミには効かないこともあります。成分が近年開発されたものかどうかを見て殺虫剤を選ぶことが大事です」

(提供/日本ペストコントロール協会)
(提供/日本ペストコントロール協会)
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水際対策について「実はトコジラミは、人から人へうつる感染症の原因にはならない。(被害は)ただかゆいだけ。だから、法令上も対策は重視されず、マラリアなどの肝炎原因になる蚊よりも(行政の)優先順位は低い」(同協会幹部)のだそうだ。

法の隙間にも入り込んだやっかいな虫のようだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班