女性ドライバーの覚悟

――ある求人サイトがトラックドライバーの方に、「『物流の2024年問題』で給料が下がったらどうしますか」というアンケートを取ったところ、半数近くが転職を考えると答えています。もしもこの先、給料が減ったら長谷川さんはどうされますか。

イヤです(笑)。

トラックドライバーを守るための改革なのに、仕事は何も変わらない。でも給料は減るというのは納得できないです。

――そうなった場合、長谷川さんも転職を考える?

トラックのドライバーになるのが夢だったので、私は何があってもやめないです。

――トラックドライバーの中には会社に属さずフリーで仕事を請け負っている人もいます。

もらえるお金は多くなるんでしょうけど、その分負担も増すわけで。手元に残すお金を増やすために高速を使わず下を走ろうかなとか、自分を追い詰める働き方をしてしまいそうですし、経験の少ないいまの段階では考えていません。

――万が一事故でも起こしたらということですよね? 今回の働き方改革の施行ではもうひとつ、ドライバー不足…とりわけ、女性ドライバーの不足にも焦点が当てられています。

法律がどう改悪されても事故はドライバーの責任ですからね。

女性ドライバーは全体としてではまだ少ないですけど、増えてはいるしそもそも女性は入ってくるときの覚悟が違うんですよ。

――覚悟とは?

ドライバーは「自分の腕で稼きたい」と思っている人が多いんです。基本的にひとりきりの肉体労働ですからね。そんな業界に入ってこようとする女性はまず肝が据わっていますよね。

シングルマザーの方も多いですが、「この手でこの子を食べさせていくんだ!」という強い覚悟がありますから。簡単にはめげないし、やめないです。

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――女性だから…という目でみられることはありませんか?

ありますよ。この時代でもたまに荷先で「女かよ」といわれたりしますから。そういうときは、「はい女です!」と答えるんですけど(笑)。

でも私はまだいいほうで先輩の女性ドライバーたちは、もっと酷いことをいわれたり、差別されてきたんだと思います。そういう先輩たちの苦労があって、いまの私たちがいるんです。そのことは絶対に忘れちゃいけないし、たとえ4月から働き辛くなっても、バトンを次の世代に繋げていきたいと思います。

取材・文/工藤晋
写真/松木宏祐
取材協力/じぇっトラTV
 

後編 中学生のときに大型トラックドライバーを志して