「そんなことで職場環境の改善につながるのか」

逆に「さん付け」に反対する若手社員たちはこう答える。

「自分は上司や先輩からは呼び捨てや“くん付け”されて育ってきたし、部下や後輩にも同じように接してきたから今さら変えるのは難しい。

尊敬する人からさん付けされたら、『自分が敬う側なのに……』と気を遣ったり、『自分と仲よくしたくないのかな』と考えて落ち込んだり、むしろ疲れてしまいそう」(男性・アパレル)

「上司とも部下ともさん付けで距離ができて、大切な相談や何気ない雑談が生まれにくくなるかもしれないので反対ですね。この先ずっと働き続けるかもしれない職場で、同僚に気を遣い続けなくちゃならないなんて寂しいですよ」(男性・営業)

(撮影/集英社オンライン)
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社内の風通しをよくし、上司部下関係なく意見が言える社風をつくるために「さん付け」を導入している企業も多いようだが、それが職場環境の改善につながるのか疑問だと答える人も少なくなかった。

「さん付けにしたところで、人間関係が良好で意見が言いやすい職場になるとは思えない。ただの人権やハラスメント意識ってだけですよね。呼び捨てでもハラスメントにならない関係性はいくらでもある。結局、その人の接し方しだいですよ」(男性・コンサル)

(撮影/集英社オンライン)
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「さん付けでハラスメント予防にはなるかもしれませんが、生産性が下がりそう。だって、気軽に話せる関係のほうが先輩や上司から助言も得やすいし、後輩への配慮もしやすい。仕事の効率を考えると今までどおりがいいですね」(男性・IT)

今回のアンケートでは、「さん付け」に賛成した人が58人、反対が42人だった。拮抗した結果が物語るように、どちらの言い分も間違いとは思えない。いずれにしても、新年度となって入ってくる新入社員が、働きやすい職場になってくれることを願いたい。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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