死に至る管理職 管理職と健康問題

2019年、英国の疫学・公衆衛生専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に、衝撃的な研究が発表されました。その内容は、「日本では一般職よりも管理職のほうが死亡率が高い」というものです。

この研究は、日本・韓国・欧州8カ国(フィンランド、デンマーク、イングランド/ウェールズ、フランス、スイス、イタリア、エストニア、リトアニア)の過去25年間の変化について国際共同研究をしたものです。日本からは東京大学の研究者が参加しています。

この研究では、欧米では一般的に管理職や専門職の死亡率がその他の職種よりも低いのに対し、日本においては1990年代後半に管理職男性の死亡率が上昇したことが報告されています5(図表14)。普通に考えれば、管理職のほうが、健康に割けるリソースが多くなりそうです。経済的な余裕があるほど、ジムに行ったり健康的な食事を摂ることができそうですし、社会的地位が高いほうが、健康への意識も高くなりそうです。

しかし、日本は死亡率という点でその関係が逆であることが示されたのです。男性の管理職の死亡率は1980年代から1990年代中頃にかけては他の職種に比べて低い状況でしたが、1990年代後半を境に死亡率が大きく上昇し、他の職種と傾向が逆転したということが報告されています。

「罰ゲーム化」する管理職の高い自殺率、縮む給与差、後任は育たず、女性と若手はやめていく…もはや誰も昇進したくない日本の会社組織の問題点_1
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経済的な不況とともに、管理職の死亡率が逆転してしまったのです。特にそこで増えた死因が「自殺」だと言われています。2020年の日本の自殺者数は2万1081人で、先進国の中でもいまだにトップクラスです。また、バブル後の自殺者急増は「経済・生活問題」を抱えた中高年男性よるものが大きいことがわかっています。経済的不況とともに働き盛りの管理職の自殺が増えてしまったのです。