「自衛隊で何かしたいというよりは『早く家を出て自立したい』」
多感な中学生時代になると不登校気味になった渡邉被告は、里親の元から県内の高校に通学していた。高校時代には親友もでき、趣味のロードバイクやアルバイトに精を出すなど、活発な一面ものぞかせていたという。高校時代の親友は当時、こう語っていた。
「直杜はおちゃらけキャラというか、お笑いキャラというか、話し方も陽気でムードメーカーという感じでした。みんなにも好かれていたし、先生とも気軽に話す、本当に普通の生徒でした。僕は小、中学も一緒だったのですが、仲良くなったのは高校になってからです。クラスが一緒になったことはなかったのですが、放送部で一緒だったのでずっと仲良くしていました。二人とも漫画が好きでその話をしたり、シューティングゲームが好きでよく話題にしていました」
この親友とはラーメン店などアルバイト先も同じで、自衛隊志望のことも経緯から詳細に知っていた。
「僕が直杜くんから自衛隊に入りたいという話を聞いたのは高1のころだったと思います。『寮生活をしてみたい』『家を出たい』というのが理由だと言っていましたが、いずれにしてもかなり早い時期から自衛官を志望していたのは間違いありません。彼の誘いで高2か高3のころに、岐阜県内にある自衛隊基地の見学会に、僕も一緒に行きましたから。その後も自衛隊に入りたいという思いは強かったようで、入隊試験の冊子を見て熱心にメモをとる姿を見かけました。自衛隊で何かしたいというよりは『早く家を出て自立したい』という意味合いが強かったと思います」