『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修をはじめたきっかけ
――前作(『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』)の2倍以上のボリュームで、ものすごく読み応えがありました。大作を書き終えて、どのようなお気持ちですか。
中川裕(以下略) やっと終わった、よかったよかったという感じです(笑)。担当編集者さんの要望が非常に多岐にわたっていたので、それに従って書いていたら、どんどん枚数が増えていきました。
――読んでいて中川先生の『ゴールデンカムイ』愛がひしひしと伝わってきますが、そもそもどういった経緯でアイヌ語の監修をすることになったのですか。
作者の野田サトル先生と編集の方が、連載開始前、いろいろと取材をしていた時に、私の研究室にいらっしゃったんです。北海道アイヌ協会と北海道博物館に「こういう漫画を描きたいんだ」と相談したら、どちらも私を紹介してくれたということで。その時は最初の三話分の原稿をお持ちでした。まだアシㇼパ(本作のヒロイン)という名前も決まっていない段階です。それを読ませていただき、こりゃ面白いやと思って「ぜひやらせてください」とこちらからお願いしました。
それ以来、毎週楽しみに読んでいたし、アニメにも実写映画にも関わらせてもらったし、もちろん作品は野田先生のものですが、自分の作品でもあるような愛着があることは確かです。
今回の新書は、その『ゴールデンカムイ』を教科書にしてアイヌ文化を学ぶのなら、こういう読み方ができますよ、というガイドブックのような本として書きました。