数年先までスケジュールが埋まり、寝る時間もないような生活
上戸さんの芸能界デビューのきっかけは、1997年に12歳で出場した「第7回全日本国民的美少女コンテスト」だ。
「小学生のとき、友達がエキストラの仕事でドラマに映っていて、『いいな。私もテレビに映ってみたいな』ってつぶやいたんですね。そしたら、それを聞いていた母親がポストに入っていたコンテストの応募用紙を送っていたんです。ある日、電話に出たら身に覚えのない審査合格の連絡で。母に聞いたら、チラシを見せてくれて。賞金200万って書いてあったので、『一軒家を買って家具を買いそろえて、貯金もできる!』って思って出ることにしたんです」(上戸彩さん、以下同)
コンテスト受賞をきっかけに芸能界への道が開かれる。芸能界への興味は薄かったものの、母に家を買ってあげたいという思いが原動力となり、1999年1月、4人組アイドルグループとしてデビュー。ライブハウスでの公演やCDの手売り、握手会などの地道な活動を重ねた。あまり知られていないが下積みも経験している。
その後、俳優としてデビューしたのが、2000年のフジテレビ系ドラマ『涙をふいて』だった。父親を亡くした4兄妹の長女・淵上桃役を演じ、思春期の葛藤を繊細に表現。
作品内での存在感が高く評価され、視聴者や業界から俳優として注目を集めることとなった。翌2001年にドラマ『3年B組金八先生』第6シリーズで性同一性障害の生徒・鶴本直役を熱演。社会的な反響も大きく、上戸さんのさらなる飛躍に拍車をかけた。
「金八先生あたりから休みがなくなって、数年は寝る時間もないくらい働いてましたね。スケジュールは数年先まで埋まっていて、与えられたものをただがむしゃらにこなすような日々で。でも現場は楽しくて充実していました。自分よりもさらに寝ていないスタッフさんの姿をみて、自分ももっと頑張らなきゃって思ったりしてました。
25歳ではじめて企画書の存在を知りました(笑)。それまでは台本しか知らなかったんですが、敷かれたレールの上を進むだけではない仕事の取り組み方が見えてきて。視聴率を意識するようになりましたし、演技への向き合い方も変わって、お芝居を心から楽しめるようになりました」