実は鶏卵も危ない? 悪い食品も輸入せざるを得ない未来も…
国際情勢による食品危機は野菜だけにとどまらない。なんと鶏卵も危ないのだとか。
「雛や飼料のとうもろこしを輸入に100%頼っているため、国際情勢の影響をモロに受けてしまいます。また養鶏は病気のリスクも高く、生産中止に追い込まれることもしばしば。昨年の鳥インフルエンザによる鶏卵不足により、鶏卵の値上げや卵を使用した商品の販売休止が話題になりましたよね。
また飼料が高く、生産者の利益が薄い養鶏は、ブランド卵の養鶏場を除き中・小規模の経営では生計を立てることは難しい。したがって、巨大経営で計画的に、大量に生産せざるを得ませんが、それでも国内の鶏卵ニーズを賄いきれないという現状があります。昨年のように鶏卵をめぐる危機が食卓に影響を及ぼす可能性は、今後もあり得ることなのです」
野菜に加え、卵も食卓から消えてしまうと、我々の食生活もガラリと変化するに違いない。最悪のケースだと、ほとんどの国産の農産物が消えてしまう可能性もゼロではないだろう。
そんな考えたくもない未来が来てしまった場合の生活への影響は?
「国産の食糧が消滅してしまうと、外国からの輸入品に頼らざるを得なくなるので、食の安全面でのリスクは高まります。
たとえば、収穫後に農薬などを使用し、品質保持の処理をする『ポストハーベスト農薬』は、安全性の観点から日本では認められていません。しかし、国産の農作物が枯渇し、食べ物を選べる状況ではなくなってしまうと、海外からの食料に頼らざるを得なくなりますが、その輸入さえできなくなれば、日本人は飢え死しかねません」
国産の自給率を上げる策を打たねば、食の安全そのものが危ぶまれる。気候変動にも耐えうる品種の改良や人手不足、国外依存の構造の解消などが喫緊の課題となるだろう。
取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 写真/shutterstock