マスメディアはゴミ、俺が片づけてやります

――こうしてインタビューを受けるようになったことも含めて、自分が世に出ることに対しては、どう感じていますか?

ありがたいです。SNSでもインタビューとかでも、自分が気軽に出した言葉に、よくも悪くも影響力が出てきたなとは思います。それだったら、世の中や社会にとって、いい影響が出たほうがいいに決まってる。

――Xはプロフィールも投稿も、絵文字がいっぱいでにぎやかですね。

深刻な虐殺のことをつぶやいたりするときは別ですけど、SNSはしょせんお目汚しなので、せっかくならかわいいお目汚しのほうがいいかなって。SNSはハッピーにやりたい。人のことを舐めたいやつもいっぱいいるので、舐めさせてあげる、甘いキャンディだよって。でもブログとか小説は、わざわざ読みたい人が読むものなので、きつい言葉も入れるし、言葉の暴力もあるけど、別に誰でもいいから傷つけたいわけじゃなくて、傷つけたいやつを傷つけたいだけ。居合の達人ってそういうものじゃないですか。SNSで刀ぶんぶん振りましてるやつはフェイクですよ、自戒も込めて。

――マスメディアに対しては、どういう印象ですか?

持ち上げたりディスったり、何でもかんでも消費して、金のためならなんでも流すし、利権のためなら流すべきものも流さない。ゴミ。俺が片づけてやります。

前編はこちら
《前編》「パワハラ、モラハラ、ブラック、搾取…マジ意味わかんない。小説はあんまり儲からないかもしれないけど一人でやってるから自分でケツ拭けないことはしないです」ごみ清掃員からすばる文学賞を受賞した大田ステファニー歓人

取材・文/おぐらりゅうじ 撮影/井上たろう

みどりいせき
大田ステファニー歓人
「マスメディアはゴミ、俺が片づけてやります」。“俺なりの夏目漱石『坊ちゃん』”を書いて、すばる文学賞を受賞した大田ステファニー歓人のパンチライン《後編》_4
2024年2月5日
1870円
単行本:216ページ
ISBN:978-4-08-771861-4
【第47回すばる文学賞受賞作】

【選考委員激賞!】
私の中にある「小説」のイメージや定義を覆してくれた。――金原ひとみさん
この青春小説の主役は、語り手でも登場人物でもなく生成されるバイブスそのもの――川上未映子さん
(選評より)

このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、高2の僕は小学生のときにバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた……。

でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた――。
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