少子化推進としか思えない増税策

岸田首相は少子化対策どころか“少子化推進”と思えるような動きを頻繁に見せており、扶養控除縮小の検討はまさにその典型と言える。この動きに「岸田政権は本気で少子化対策をする気がないため、このようなことを検討できるのです」と藤井氏は呆れる。

「岸田首相は結局、政府の借金返済のためにさまざまな増税策を作り出している財務省の言いなりです。だからこそ、扶養控除縮小はもちろん、消費税減税をはじめとした減税策には見向きもせず、いかに国民から搾り取るための政策しか打ち出しません」

また、政府は12月上旬、3人以上の子供がいる多子世帯の大学授業料などの無償化を決めたが、この方針もまた少子化促進につながりかねないと危惧する。

「『それなら3人目を作ろうかな』と考える既婚者は一定数いるでしょう。しかし、大学無償化では若者の所得は増えません。また、未婚者が大学無償化の恩恵を受けられるのは20年後です。加えて、大学無償化が施行されたとしても今後改変される可能性は低く、未婚の若者が今まさに『大学無償化なら安心して結婚できる』と考えて婚活に励むとは思えません。
そもそも、岸田内閣は今後『大学無償化の財源確保のために増税します』と言い出しかねない。そうなればますます結婚する若者は減り、少子化は加速するでしょう」

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消費税減税こそ最善策

少子化対策として講じるべき政策は、はたして何なのか。

藤井氏は「これまで述べてきましたが、若年男女の所得増が最も効果的です。より詳細に言えば、若年男女が『今もお金が入ってきているし、将来的にもお金が入ってくるだろう』と思えるようになる必要があります」と答え、具体的に説明する。

「そのためにはデフレ脱却が必要不可欠。デフレになった最大の要因は消費増税です。1997年の消費増税によって、消費、投資、GDP、賃金、物価などあらゆる尺度が低迷を始めました。その後、8%、10%と消費税率が上がるごとにそれらの尺度は激しく悪化を見せています。
したがって、消費税減税こそが最大の少子化対策と言っていいです。加えて、必要なインフラ、研究開発、人材育成といった投資拡大も、デフレ脱却を促して持続的な賃上げ状態を導きます。

さらには、法人税増税も得策です。法人税は利益にかかるため、法人税増税が行われれば、企業は法人税の節税対策として利益を減らす努力を始めるでしょう。そのための最も手っ取り早い方法として、企業への投資を増やしたり賃金を上げたりなどが挙げられます。法人税増税も少子化対策として検討すべきです」

そして、「日本では結婚しない限りは子供を作りません。大学無償化や児童手当の拡充など子供を作ったときに発生する費用を政府が負担しても少子化対策にはあまり影響がない、ということを岸田政権はもちろん国民のみなさんが知っておかなければ少子化は改善されないでしょう」と締めくくった。

取材・文/望月悠木

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