所得が高い若者でも4割以上が「子どもを持ちたくない」
日大の末冨教授らの研究グループが、全国の15~39歳の男女約4000人を対象に調査を行なったところ、「子どもはおらず、子どもは育てたくない」と回答した人が52.0%に上ったことが分かった。
そのうち、本人の年収が299万円未満、あるいは世帯年収が399万円未満の人では約6割に上り、世帯年収が低いと回答率が上がる傾向がみられた。
この調査結果で分かる少子化と経済の関連性について、研究グループ代表の日大・末冨教授に話を聞いた。
「『低所得だから非婚化して少子化が進む』というのが従来のセオリーでしたが、今回の調査では低所得者層だけではなく、年収500万円以上の相対的に所得が高い若者でも4割以上が『子どもを持ちたくない』と回答しており、こうした考え方が所得に関係なく、浸透していることが明らかになりました」(末冨教授、以下同)
国立社会保障・人口問題研究所が2021年に行なった結婚と出産に関する全国調査によると、「結婚したら子どもを持つべき」への賛成割合が2015年は66.6%だったものが、2021年には45.8%まで減少している。
「『子どもを持ちたくない』と回答した人のうち、男性は世代差がないのが特徴でしたが、女性は30~34歳、35~39歳の回答者が4割未満で、年齢が上がるほど回答者が少なくなっていく傾向ではありましたが、全体的に子どもを『産まなきゃ』『育てなきゃ』という意識が薄れてきているように感じました」