30年前の一冊

『怪物に出会った日』の目次には、11人の男たちの名が記されている。

佐野友樹: 井上のプロ3戦目の相手。TKO負け。
田口良一: 日本ライトフライ級王者として、井上と対戦。判定負け。
アドリアン・エルナンデス: WBC世界ライトフライ級王者として、井上と対戦。TKO負け。
オマール・ナルバエス: WBO世界スーパーフライ級王者として、井上と対戦。KO負け。
黒田雅之: 井上の公開プロテストの相手、スパーリング・パートナー。試合はおこなっていない。
ワルリト・パレナス: 井上(WBO世界スーパーフライ級王者)の防衛戦の相手。TKO負け。
ダビド・カルモナ: 同王座・防衛戦の相手。判定負け。
河野公平: 同王座・防衛戦の相手。TKO負け。
ジェイソン・モロニー: 井上(WBA・IBF世界バンタム級王者)の防衛戦の相手。KO負け。


ここまで9人。

目次ではもうひとり、ノニト・ドネアの名前が書かれているが、この章の主たる語り部は、ドネア本人ではなく、〈日本での代理人のような存在〉【2】である植田眞壽なので除外した。また11章のナルバエス・ジュニアは、第4章で扱われたオマール・ナルバエスの息子だ。

森合が参考にしたかどうかは知らないが、今から約30年前に、「怪物~」と同じコンセプトの作品があった。カナダ人のスポーツライター、スティーブン・ブラントによる『対角線上のモハメド・アリ』だ。

『対角線上のモハメド・アリ』
『対角線上のモハメド・アリ』


アリと闘った15人のボクサー、そしてアントニオ猪木の話をまとめた1冊で、原題は『FACING ALI』(アリに出会った男たち)という。