日本のXデー
21世紀に入ってから、世界人口の3割はすでに飢餓におかれていたと見込まれる。飢餓の分かれ目となる1人年間500キログラムの穀物を自前では確保できない人口のことである。
500キログラムを人口の数だけ掛け合わせた穀物の量が世界の穀物必要量となるが、当然なことだが人口が増え続ける限りこの数字も増え続ける。
2019年の38億6000万トンが2023年に40億トン、2038年に45億トン、2059年に50億トン、2087年まで増え続け、52億トンでピークを迎える。しかし予測される生産量は必要量を大きく下回る。毎年の穀物生産予測量を必要量で割ったものを「世界穀物充足率」とすると、2019年78%、23年79%、37年81%、生産がピークに達する39年81%、57年72%、89年62%、95年60%という数字になる。
過去の経験値から「世界穀物充足率」が70%以上であれば、経済力のある国は貧しい国を押しのけて自国の必要穀物を量的に確保(輸入)できるようだが、この充足率が60%台に突入する64年以降に起こる事態は予測がつかない。
経済力のある国民は、不足を輸入でしのぐことができるので飢餓そのものに陥ることは避けられてきたが、実質的には「隠れ飢餓」といえる状態にある。他方では経済力の乏しい国民に飢餓を押し付けていることになり、食料危機はほとんどの国が抱える問題であり続ける。
日本はその「隠れ飢餓」にある国の1つだが、「見える飢餓」の国と合わせると、そこに住む実質的な飢餓人口は2019年には17億4000万人を数える。2030年頃、穀物生産量の増加から、飢餓人口はいったん減少して16億4000万人になると予測できる。しかし世界人口が急増する2035年に再び増加、17億2000万人となる見込みである。