「熊森協会からはクレームの呼びかけなどしていない」

同団体の名誉会長、森山まり子さんは、10月下旬配信のネットニュースのインタビューで「クマこそ被害者」「(人的被害対策として)どんぐりを撒けばいい」などと発言。これが大炎上へとつながった。

「(あの記事が出てから)クレームの電話はものすごいですよ。『お前らが役所にクレームを入れてるんだろ!』、『クマと共存したかったらお前が全部引き取れ』といったものや、『今度クマが人を殺したらお前らを殺してやるぞ』といった脅迫まがいの電話やメールが一日中くるようになりました。“クマと共存できる社会の到来”を訴えているのはウチ(日本熊森協会)しかいないので、おそらく美郷町役場に電話したのもウチの呼びかけだと決めつけているのでしょう」

秋田県美郷町に見られるクマ出没注意の看板(美郷町公式Faceboookより)
秋田県美郷町に見られるクマ出没注意の看板(美郷町公式Faceboookより)

日本熊森協会では、およそ27年の活動のなかで、発足当初は会員たちに抗議の電話を呼びかけたこともあったが、現在ではそうした呼びかけをすることはないという。そもそも熊森協会の会員には、自分の発言に責任を持たせるためにも、電話の際に協会名と本名を名乗ることをルールにしているという。

「私が美郷町に確認したところ熊森協会と名乗る人からの連絡はなかったそうです。それなのに、うちがクレームを入れてると決めつけて、匿名電話で罵倒してくる。今の社会って誰かがバッシングを受けたら、みんなが集団リンチのように一斉に叩いてくるじゃないですか? それとまったく同じで、ウチに電話をかけてくる人たちもただ罵倒してストレスを発散したいだけのように思えます。なんだか悲しくなりますよね……」

ちなみに森山さんは、美郷町の親子グマ殺処分の件で一度だけ町役場にアドバイスのつもりで電話を入れたという。

動物園で見るとかわいいのだが…
動物園で見るとかわいいのだが…

「猟友会(実際には美郷町鳥獣被害対策実施隊)の人たちに囲まれたことで、ツキノワグマの親子は『やばい、人間に見つかった。どうしよう』と完全にパニックになっていたように思います。テレビでは『小屋に逃げて立てこもった』と報じられていましたが、おそらく怖くて出てこられなくなっただけなんです。だから私は美郷町役場に『こんな時は、小屋のちかくに赤外線モニターを取りつけて、2人ぐらい残してみんな離れてください。地図を確認したら山へのクマの帰り道には人家はないので、夜、扉を開けておいたら一目散に山に帰りますよ」と伝えました。