秋ドラマが始まった。ワクワクしながらラインナップを見ていると、ふとある事実に気づいてしまった。秋にスタートするドラマの20作以上が“漫画原作”ものなのだ。
・高橋文哉&志尊淳 主演『フェルマーの料理』(TBS系列)
・西島秀俊&内野聖陽 主演『きのう何食べた? Season2』(テレビ東京系列)
・菅野美穂 主演『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日系列)
・重岡大毅 主演『単身花日』(テレビ朝日系列)
・菊池風磨 主演『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ系列)
・木南晴夏 主演『セクシー田中さん』(日本テレビ系列)
・松本穂香 主演『ミワさんなりすます』(NHK総合)
……と、ほんの一部を紹介するだけでも、大量放出。
いったいなぜ、ドラマ界は漫画原作がこんな飽和状態になってしまったのだろうか? 私なりに各所で見聞きした情報をまとめてみようと思う。
たった1、2話目の掲載で映像化のオファーが
まずなぜ漫画原作が増えたのか、この発端を考えると思い当たることがある。旧知の仲である、某男性漫画誌の編集部員と飲んでいたときのことだ。
私から、最近のドラマは漫画原作がとても多いことを話すと、「だろうなあ」と、一言。そしてこう続けた。
「とにかく最近、ドラマ化のオファーが多いのよ。たった1〜2話を連載しただけで、テレビ局から『映像化をしませんか』と電話があるくらい。昔は漫画が映像化されるなんて、スペシャルなことだったのに、今じゃ断ることだってある」
かつて、テレビ局のドラマプロデューサーからも、企画を考えるときにはまず書店へ、もしくはAmazonサーフィンをすると聞いたことがある。私たち出版業界の人間も同じようなことをしているので、それが決して悪いことだとは思わない。
「ただ、残念だなあと思うのが、ドラマ化が漫画家のセカンドステップになかなか繋がらないんだよ。昔は映像化されると、即、人気漫画家の仲間入りになっていた。なのに今じゃ、たった一回のドラマ化で終わってしまうことも多い」