実力だけでない評価を上げるもう1つの要因

加えて、近年は大谷、さらには今季海を渡った千賀滉大といった日本人投手がしっかりと結果を残している。野茂英雄以降、「日本人投手の実力」はMLBでも一定以上評価され続けているが、パワー全盛のMLBでも日本人投手が十分通用する“土台”は出来上がっている。

そして、最後の年齢。山本由伸は今年8月に25歳になったばかりだ。23歳で海を渡った大谷は別として、過去ほとんどの日本人選手が20代後半~30歳前後でMLB移籍を果たしているのと比較しても、圧倒的に“若い”。MLBでは選手の現時点での実力はもちろん、選手の年齢が契約年数、契約規模に大きく影響を及ぼす。

25歳であれば、投手としての全盛期はここから。現地報道では契約年数は8年程度、契約総額は2億ドル(現在のレートで約300億円)を軽く上回るだろうと予想する声が多い。
もちろん、これらの数字はあくまでも「今オフ、山本由伸がポスティングシステムでMLB移籍をした場合」という但し書きが付く。ただ、一方で今季、山本由伸の登板試合には毎試合、MLBのスカウトたちが押し寄せているという事実も、付記しておきたい。

史上初となる3年連続の投手四冠、さらには、2年連続日本一へ。この秋、山本由伸への注目度はさらに増すはずだ。そして、シーズンが終わったとしても……もしかしたら“山本由伸旋風”はNPBの枠を超え、海の向こうまで轟くかもしれない。

写真/Getty Images
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まずは、一ファン、一野球人として、残りのCS、日本シリーズと残りのNPBでの投球を目に焼き付けておきたい。

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取材・文/花田雪