#2 佐々木朗希は170キロを投げることができるのか?

なぜ、石川雅規は小柄で180勝以上も挙げられるのか?

古田 ヤクルトの石川(雅規)君は、40歳を過ぎても現役でやっていますが、彼は入団当初はストレートとスライダー、チェンジアップの 3種類しか投げることができませんでした。彼は身長が170センチないものの、183 勝もしていて、2022年も6勝していますから〝すごい〞の一言です。

《古田敦也×上田晋也》古田も太鼓判!現役投手では山本由伸しか投げていない唯一無二の球種とは?_1
現役時代には捕手としても監督として石川投手をリードしていた古田さん
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大学時代にエースとして活躍した石川君が入団してきたとき、僕はいきなり「こんなレベルの 3種類じゃ絶対プロじゃ抑えられへんぞ」と、ダメ出ししたことがありました。すると後日、彼は「何を覚えたらいいですか」と素直に聞 いてきたので具体的にアドバイスしたら、毎年新しい球種を必ず覚えてくるようになりました。

上田 なるほど、そういった努力があるから、長年コンスタントに勝ち星を重ねて来られたんですね。

《古田敦也×上田晋也》古田も太鼓判!現役投手では山本由伸しか投げていない唯一無二の球種とは?_2
テレビのスポーツ番組の司会も務め、野球大好きな上田さん

古田 そうですね。彼にはほかにも「お前のチェンジアップ(シンカー)さ、プロじゃ誰も振ってくれないよ」と言ったこともありました。そのときも、すぐどうしたらいいのか質問してきたので、もう少し速く投げられないかとアドバイスしました。そしたら、開幕近くには、速いシンカーが投げられるようになっていました。

遅いシンカーだけだと、プロは振ってくれませんが、速いシ ンカーも投げられるようになると、遅いシンカーが活きるんです。速いシンカーかなと思ってスイングしにいくと、もっと遅いシンカーだったために空振りをしてしまうわけです。球種が 1種類増えただけで、キャッチャーのリードの幅がぐんと増えて、一気に抑えられるようになります。

石川君には、毎年、カットボールがあるといいなとか、リクエストしていました。彼は、ほかの人の助言に対して素直に取り組む選手だったので、長い間プロの一線で活躍できるわけです。