オリックスにあらわれたブーマーの再来
リーグ3連覇、日本シリーズ連覇の偉業を目指すオリックス・バファローズが2023年もパ・リーグの優勝争いを牽引している。ただ、シーズン前からここまでの強さを誰もが予想していたかというと、決してそうではない。たしかに球界最強投手・山本由伸をはじめ、宮城大弥らを中心とした投手陣の充実ぶりは甚だしい。今季はそこに新星・山下舜平大も加わり、球界最強の名を欲しいままにしている。
問題は打線だ。絶対的存在だった吉田正尚がメジャーに移籍。昨季は杉本裕太郎も不振にあえぎ、「打線の核」が抜けた穴を埋めるのは、そう簡単ではなかったはずだ。
しかし、FAで移籍した森友哉、打撃が覚醒した頓宮裕真といった存在が、2023年の打線を牽引し、吉田の穴を埋めた。そして7月、またひとり、猛牛打線に頼れる男が現れた。
今季、育成選手として新加入した、レアンドロ・セデーニョだ。
5月に支配下登録をつかむと徐々に一軍出場機会を増やし、7月4日には来日初本塁打。同16日には延長10回に決勝弾を放ち、21日には4試合連続本塁打と夏場を迎えて大爆発。7月の月間成績は18試合で打率.309、7本塁打、23打点。いまやすっかり“4番”の座に定着した。
そんなセデーニョの活躍を、多くのファンはかつてチームを支えたレジェンド助っ人と重ね合わせ、こう呼んでいる。
――ブーマーの再来。
ブーマー・ウェルズ。本名、グレゴリー・デウェイン・ウェルズ。球団名がまだ阪急ブレーブスだった1983年に来日し、1991年までの9年間バファローズでプレーした伝説の助っ人だ。
若い世代の野球ファンからすればピンと来ないかもしれない。ただ、初来日から40年経った今、奇しくも「ブーマーの再来」と呼ばれる外国人選手が現れた。果たして、ブーマーという助っ人は日本球界にどんなインパクトを与えたのか――。その功績を改めて振り返ってみたい。