「大気汚染は中国進出した外国企業のせい」
中国では、上記のように、行政トップが口を酸っぱくして環境対策を力説しても、どの地方政府も実際の行動に移すことは少なく、依然として生産優先だ。
中国の大気汚染が深刻になった大きな要因のひとつは、じつは日本が円借款を打ち切ったことにある。2006年、小泉純一郎首相が新規の円借款を2008年で打ち切る決定をしたことが、中国の環境対策に大きなダメージを与えた。
なぜなら、地方政府と電力会社など国営企業は、硫黄酸化物の脱硫装置や防塵など、公害防除のためのクリーン設備の費用を中央の特別枠でもらうようなのだが、その特別枠の財源が円借款だったからだ。日本の資金援助がなくなると、地方政府は環境対策のための設備投資をしなくなったというわけだ。
中国の新聞で〈大気汚染は中国進出した外国企業のせいだ。〉という記事が出ることがあるが、環境保護を自己責任とせずに、他国に頼る身勝手さの表れだろう。
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