アフターコロナで待望の復活『FNS27時間テレビ』

今年の夏は全国各地でお祭りが復活している。

東京でも夜の街を歩けば盆踊りが開催されていたり、花火大会が大いに盛り上がっていたりと、久方ぶりの行動制限のない夏を多くの人が満喫している。

フジテレビの夏祭り『FNS27時間テレビ』も今年4年ぶりに復活した。

多くの人がすでに書いているのでここで詳しく反芻はしないが、『千鳥の鬼レンチャン』を主軸にすえ、バラエティ班総動員で繰り広げた長丁場の生放送は、フジテレビ復活を大いに印象づけるとともに、久々にテレビの楽しさを見せてくれた素晴らしいものであった。

正直なところ、始まる前は、フジテレビだということを理由にどんな内容でも叩く人が多いのだろうなと予想し、私だけでも褒めちぎる記事を書いてやるさと意気込んでいたのだが、実際終わってみると絶賛の声が大多数であった。

しかし思い返してみると、『FNS27時間テレビ』がなかったこの3年間は、テレビ番組、特にバラエティにとって試行錯誤の連続であった。行動制限解除を機に改めて振り返ってみたい。

ロケもスタジオ収録もできなくなったバラエティ番組

2020年に始まった新型コロナウイルスによる不自由な日々。それは芸能界も例外ではなかった。

当初、バラエティ番組は従来通りで何も変わらなかった。しかし芸能界で感染者が複数出始め、出演者からも「バラエティの収録はいまだに密」「怖い」と言った声が上がると、テレビ局も制限を強化。バラエティ番組はロケもスタジオ収録もできなくなり、リモート収録という形を取るようになった。

一時的にはほとんどの番組がリモート収録となり、当時のTVerのサムネイルがほとんどZoom画面ばかりという異常事態になった。

当時その状況を逆手にとって生まれたのが伝説の『有吉の壁』(日本テレビ系)リモート収録「なりきりの壁を越えろ」である。芸人たちが芸能人になり切って、自宅からのリモート中継をするという体の回。

とにかく明るい安村が原田龍二として温泉中継を始め、安村のリアル自宅部屋にもかかわらず、大量の水をかぶり、ぶちまけるという凄まじいボケを披露。出番が終わった後に哀愁漂う様子で水をかき出している安村の様子も有吉がいじり倒した。

多くの芸能人が慣れないリモート収録に戸惑い、音声の微妙なタイムラグや、アイコンタクト・阿吽の呼吸の通じなさに四苦八苦する中、リモートでもお笑いはできるということを力技で示したのは素晴らしかった。