「卵子凍結は若くて、卵巣機能の高い女性が圧倒的に有利で……」

――婚約者に別れを告げられ、金銭的、精神的にも苦しい時代を経て落ち着かれたころ、「子どもがほしい」と悩まれた末、選択肢の一つとして卵子凍結を経験されたとのですが、ここでも問題にぶつかられたと聞きました。

私が縁あって卵子凍結に取り組んだのは、36歳から37歳にかけてでした。でもあの現場で見事なゴールが約束されているのは、若くて、卵巣能力が高い女性ばかり。卵子採取で病院に行くと「たくさん採れました〜」みたいな声が聞こえてくるんですよ。でも私はまったく採れない。そこでまた落ち込んでいました……。

――勉強と同じく、やはり競争に勝ちたいんですね(笑)。

そうですねえ(笑)。最近はあまり競争心を出さないよう、ひとつの世界にとどまらず、いつもいくつかの世界を自分の周囲に置くようにしていますけど。

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――山口さんは頑張った甲斐があって、卵子凍結をすることができたわけですが、この方法はまだ費用問題もあって、一般的ではありません。これを若い女性に勧められますか?

まずは若かったら選択肢のひとつとして持っていいと思います。でもそのときに、結婚をするのか、シングルで育児をするのかという、ある程度の目標を立てることが必要です。

なぜかといえばやっぱり費用的な問題がかかってくるからです。これからは会社が費用助成システムを設けるとかそういうケアも出てくると思います。でもこれは、男性と同じようにキャリアを積め!という指令でもあるわけです。手放しで喜ぶのではなくて、計画性は必須ですね。

――おいそれと手を出すシステムとして、まだ確立はされていないということですよね。

私もかっこよく言いましたけど、卵子凍結は不妊治療業界の新しい財源ではないかと思います。団塊ジュニア世代の不妊治療も一通り終わったけど、人口は減る一方ですからね。高額ですし、私も「みんなやりましょう〜!」とは軽々しく言えない。だからこそ本当に自分に必要かどうかを選択してほしいです。