「人生初の挫折を味わっていて、いまある場所から逃げたかった」恋愛だった

――彼とのおつき合いは順調だったんですよね?

そう思っていたのは、どうやら私だけだったんです(笑)。

婚約していた留学中に、彼がボストンまで会いにきてくれたことがあったんです。でも私も留学した以上は……と、真面目に勉学に取り組んでいました。だからまともに相手ができなくて、それがストレスになってしまったんですよ。で、私は覚えていないんですけど「来なくてもよかったのに」と言ったらしいです。

――彼にですか?

そう。私は自分が傷ついたことだけは細かく覚えているのに、人を傷つけたことは覚えていない。相手のことを理解しようともしてない。ダメでしたよね。その後に別れを宣言されて「別れたくない! 今すぐに(日本へ)帰るから!!」と大騒ぎ。

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――もし今、彼と再会したら……

やり直すかどうかですか? それはないです。たぶん、彼はいい意味で自分の知っている範囲にパートナーを閉じ込めておきたかったんですよ。そういう愛し方もある。

でも私は当時、彼にも言えなかったけど、人生初の挫折を味わっていて、いまある場所から逃げたかった。もし、何事もなく結婚していても私が「もっと外へ行きたい!」と思う可能性は高いです。長い目で見ると二人の間には大きな齟齬があったんだと思います。