第2譜 黒石狙われる
黒36は手堅い守りですが、地は少し損をしている。1図の黒1とサガっておくほうが、右下の地が大きい。白2の抜きにも黒3とカタツギしていて大丈夫だった。
白は37と抜いてできた厚みを生かすべく、39と打ち込むも、「黒40もいい感じですね。白まずい」と上野さん。
白は45から49などと、右上にモタれながら、虎視眈々と右辺の黒を狙う。
そのため、黒は58では2図の1と右辺を守っておけば万全だった。
白は61と右辺を襲いかかる。黒、どうする!?
第3譜 逆に攻めていく
黒62とスペースを広げて、しのげそうな感じだ。黒74までうまく根拠を作ったのだが、「黒74は3図の1とカケツぐほうがまさります」と藤澤八段。黒3までとなったあと、黒aと切ってはっきり生きる手が残るのが大きいという。
川上さんは右辺を生きよう、なんてケチな発想はなかった。
黒78は右辺から下辺に広がる白の眼形を奪う一手。これには上野さんも「衝撃を受けました。『取られる~』と思ってしょうがなく白79、83と逃げました」。
「ハンマーパンチ」というニックネームを持つ上野さん。力強く相手の大石を仕留めてしまうところからついたのだが、その上野さんが逆に攻められているとは、プロの碁でも滅多にお目にかかれない状況だ。
白は83のノゾキから87と逃げ出した。
白89は「モタレ攻め」。右辺の黒を狙っているのだ。ピンチを察した川上さんは……。