「ドキュメンタリスト」としての力
実は、今回の作品にも松尾らしいAVの撮影手法が用いられているという。
「『ドキュメント サニーデイ・サービス』も、目指したのは、1対1のハメ撮りシステム。車でメンバーに話を聞いたのも、AVと同じですよ。AVでは、助手席に女の子が座ってるだけ。
スタジオで照明を当ててインタビューしなかったのも、ずっとAVで、そうじゃない撮り方をしてきたから。一部の人にしかわからないと思うけど、そういう手法が、この映画のいろんなところに継承されているんです」
自然体の言葉を引き出すインタビュー、インサートされる風景カット、ウォン・カーウァイ作品を彷彿とさせる広角映像やストップモーションなど、随所に“カンパニー松尾らしさ”が感じられる。
古くからのファンもビギナーも、サニーデイの歴史や魅力を知ることができ、ライブシーンには興奮と感動も。そこには、女優のリアルな人間性と生々しい性を撮り続けてきた、「ドキュメンタリスト」としてのカンパニー松尾の力が生きている。
後編では、彼のAV監督としての35年の歴史やAV業界の変化などを聞いていく。
取材・文/泊 貴洋
撮影/村上庄吾
場面写真/©2023 ROSE RECORDS / SPACE SHOWER FILMS
編集/一ノ瀬 伸
『ドキュメント サニーデイ・サービス』(2023年)
監督/カンパニー松尾
ナレーション/小泉今日子
出演/サニーデイ・サービス(曽我部恵一、田中貴、大工原幹雄)、丸山晴茂、渡邊文武、藏本真彦、新井仁、杉浦英治、北沢夏音、やついいちろう、山口保幸、小宮山雄飛、ワタナベイビー、夏目知幸、安部勇磨
配給/SPACE SHOWER FILMS
1992年に曽我部恵一、田中貴らを中心に結成され、今年、CDデビュー30周年を迎えるサニーデイ・サービスのドキュメンタリー映画。コロナ禍の全国ツアーに密着しながら、メンバーや関係者による証言でバンドの歴史を振り返る。新旧の貴重なライブシーンや、カンパニー松尾ならではの映像美も見どころ。
7月7日(金)渋谷シネクイントほか全国公開
公式HPはこちら https://films.spaceshower.jp/sunnyday/