国民一律10万円給付も? 「バラマキ」に冷ややかな声

トランプ大統領が発表した相互関税をめぐっては、日本のGDP押し下げなどの影響も予想されている。そこで、石破政権は現金給付などの経済対策を検討。

所得制限を設けず1人一律5万円を給付するなどの案が浮上しているが、与党内からは「10万円」などさらに多額の支給を求める声も出ている。

ただ、党内からは冷ややかな声も。

「経済対策は必要とはいえ、現金給付は参院選前の『バラマキ』だと国民に見透かされるのでは。今から補正予算を編成して通常国会で成立させるのも時間的にタイトだし、少数与党として野党との調整も求められるため、大変だ」(自民党関係者)

それでも、夏の参院選前にトランプ政権との交渉で少しでも成果を出し、経済対策も打ち出さないと、ただでさえ低支持率にあえぐ石破政権への逆風は強まっていく。「なりふり構わず」で対応にあたっていく考えだ。


2025年2月8日(日本時間)、トランプ大統領と初めての日米首脳会談を行なった石破首相(本人公式Xより)

2025年2月8日(日本時間)、トランプ大統領と初めての日米首脳会談を行なった石破首相(本人公式Xより)

交渉役は「石破首相の数少ないお友達」に、党内からも不安の声 

石破首相は、トランプ政権との交渉にあたる担当閣僚に、側近の赤沢亮正経済再生相を起用。

これまでにも環太平洋連携協定(TPP)交渉は甘利明氏、日米貿易協定交渉は茂木敏充氏と、当時の経済再生相が担ってきたため、赤沢氏の起用は順当ともいえるが、人選には党内から疑問の声も出ている。 

「赤沢氏は、石破首相と同じ鳥取の選出だから、初めて閣僚になれた人。最側近とされるが、石破首相が不遇の時代は業を煮やして距離を置こうともしていた。その程度の人しか仲間がいない石破首相が、数少ない“お友達”の中から選んだ人がトランプ政権との窓口で大丈夫だろうか」(自民党関係者) 

「トランプ関税」の交渉役に抜擢された赤沢亮正氏(自民党HPより)
「トランプ関税」の交渉役に抜擢された赤沢亮正氏(自民党HPより)

そんな中、永田町で注目を集めたのが、現在要職に就いていない茂木敏充前幹事長だ。かつて日米貿易交渉を担い、トランプ氏から「タフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」と呼ばれたこともある。

トランプ大統領が関税措置を発表した後の4月5日に茂木氏は、さっそく「日米交渉・TPP 関税協議を有利に進めた最強の交渉術」と題したYouTube動画をアップした。

永田町ではこんな憶測も。

「茂木氏は人望がなく、総理になれるとしたら、ピンチヒッターのときだけだろう。トランプ大統領の任期はあと4年弱。石破政権が長くもたないことを見越して、トランプ氏と渡り合える能力をアピールし『ポスト石破』を狙っているのだろう」(全国紙政治部記者)

茂木敏充前幹事長(本人Facebookより)
茂木敏充前幹事長(本人Facebookより)