コロナ禍で想定外の長期撮影に

まず考えたのは、どんなドキュメンタリーにするか。

「バンドのドキュメンタリーには、大きく言うと、ツアーを追った『ツアー・ドキュメンタリー』と、過去の歴史を紹介する『バンド・ドキュメンタリー』があって。

サニーデイは、2018年にドラマーの丸山晴茂さんが亡くなって、新ドラマーの大工原幹雄さんが加入した最初のツアーが控えていたので、そのふたつの中間というか。ツアードキュメントに、歴史の話をうまく挿入していく構成をイメージしました」

レジェンド監督カンパニー松尾が「サニーデイ・サービス」のドキュメンタリーを撮影 ナレーションは小泉今日子で小宮山雄飛ら10人以上がコメント…「●●撮り手法」も採用?_4

ツアーは当初、2020年5月から3カ月程度の予定だった。その前に東京で取材しておきたいと、4月4日、東京・飯田橋のボート場に曽我部を呼んだ。

「曽我部さんがボートを漕いでいる冒頭のシーンを撮ったんです。それがちょうど1回目の緊急事態宣言が出る前で、その撮影中にツアー中止の電話が入った。だから散り際の桜の中で、曽我部さんがボーッとしてる。実際、大変だったと思いますよ。

曽我部さんは『ROSE RECORDS』を主宰して全部自分たちでやっているので、コロナでライブがキャンセルになったら、多大なるダメージを受ける。

その後、移動して違うシーンの撮影の予定があったけど、前を走る曽我部さんの車から『キャンセルをお願いします』とLINEが来て、いきなり中止になりました」

レジェンド監督カンパニー松尾が「サニーデイ・サービス」のドキュメンタリーを撮影 ナレーションは小泉今日子で小宮山雄飛ら10人以上がコメント…「●●撮り手法」も採用?_5
『ドキュメント サニーデイ・サービス』より
レジェンド監督カンパニー松尾が「サニーデイ・サービス」のドキュメンタリーを撮影 ナレーションは小泉今日子で小宮山雄飛ら10人以上がコメント…「●●撮り手法」も採用?_6
『ドキュメント サニーデイ・サービス』より

次に撮影したのは、下北沢のカレー店で働く曽我部の姿だ。

「『カレーの店・八月、開店しました』とTwitterで発信されているのを見て、行ってみたんです。そうしたら曽我部さんが、カレーを出して普通に接客していて(笑)。

本当はもっと宣伝してからオープンしたかったらしいんですが、経営していたカフェバーがコロナで営業できなくなって、前倒しで始めたと。『とにかく日銭を稼がないと』と言っていましたね」

その後、無観客での配信ライブや、客数を制限しての有観客ライブなど、コロナ禍でも活動を続けるサニーデイを約1年半にわたって追い続け、2時間25分の『ドキュメント サニーデイ・サービス』が完成した。

レジェンド監督カンパニー松尾が「サニーデイ・サービス」のドキュメンタリーを撮影 ナレーションは小泉今日子で小宮山雄飛ら10人以上がコメント…「●●撮り手法」も採用?_7
『ドキュメント サニーデイ・サービス』より