39歳イニエスタ、いまだチャレンジをやめず

何より、チームメイトはもちろん多くのJリーガーが日々のトレーニングで、あるいは試合で彼と同じピッチでボールを蹴ることができた事実は世界レベルを知ることにも繋がり、また観る側にもサッカーの面白さを伝え、多くの子どもたちに夢を与えるきっかけにもなった。それは彼が日本で残した功績であるはずだ。

写真/Getty Images
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だが、「ピッチに立ってプレーで自分を示すことがアンドレス・イニエスタだ」と考える彼が、そのことだけで今の状態に納得できるのか。コンディションに自信を持つ今、ピッチに立たない自分を許せるのか。

答えはノーだ。

サッカーが大好きで、プレーすることが最大の楽しみである彼ならば。

「しっかりトレーニングをして、コンディションを整えていても公式戦のピッチに立てないということは、僕に限らずいろんな人、職場で起こりうること。決して難しい、複雑な何かがあったわけではありません。

正直、先のことはまだ何も見えていませんが、自分としてはサッカーを続けたいし、サッカー選手としてプレーしながら引退したいという気持ちが強いので、そういった形で引退に向かっていける場所を見つけたいと思っています」

であるならば、夢のようなこの5年に大きな感謝と賛辞を送り、彼の新たなチャレンジを祝福したい。これもまた、彼が真摯に築いてきたキャリアとそこで残した実績があってこそ掴み取ったできたチャレンジでもあるからだ。

Jリーグでのラストマッチは7月1日の北海道コンサドーレ札幌戦。在籍中、たくさんの愛情と信頼を寄せ続けたホームサポーターに、時間の許す限りさまざまな名所に足を伸ばすなど「第二の故郷」と親しみを寄せる神戸、日本での生活に、別れを告げる。

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取材・文/高村美砂