3年前くらいからベンツやレクサスでアパートに訪れていた…

しかし、熱心にボランティアへの志を話していた土岐容疑者は、翌2013年6月には自らのブログに埼玉県に居を移したという報告とともに、自己紹介にはこうつづっていた。

「慢性疾患アトピーアレルギー介護不妊等の食事でお悩みの方個人栄養指導いたします」

その後2016年にさいたま市緑区内のアパートに「出張リラクゼーション」をオープンするなど、セラピストとして生計を立てていたとみられる。同じアパートに住む70代の男性は、土岐容疑者のことをよく覚えていた。

〈秋田コンクリート女性遺体〉「スコップを持って男女4、5人が林に入っていった」土地を所有する出張リラクゼーション店経営の女性と風俗店店長は記者の直撃に…暴力団関係者が関与!?_3
リラクゼーション店で“神の手”といわれていた土岐容疑者(店舗HPより)

「はきはき喋るいい子だったんだけどね。一昨年の夏にウチのエアコンが壊れたときには『おじさんこれ使ってよ。大変でしょ』ってアイスノンと冷風機を持ってきてくれたよ。よくチワワのような小型犬を連れ歩いていて『近くのドッグランに行ってきた』とニコニコ報告してくれたり、見た目も明るく真面目で本当にいい子ですよ」

男性が土岐容疑者を見かけるようになったのは、今から5年くらい前だという。ともに秋田出身だったことが、打ち解けるきっかけになったようだ。

「私も秋田の出なので、共通の話題があったことで少し話す間柄になりました。引っ越してきた最初の頃は一人暮らしで、一度お父さんも見かけました。お父さんは秋田から車を運転してきて『疲れた』と言ってましたが、家族とは仲のいい印象でした。
それが、3年前くらいからベンツやレクサスでアパートに訪れる不良っぽい男性を見かけるようになりました。アパートの前に駐車して、そのまま部屋に上がっていくので彼氏だと思っていました。男性はいつもジャージ姿で体格がよく、まあ雰囲気がヤクザっぽいというか…」

〈秋田コンクリート女性遺体〉「スコップを持って男女4、5人が林に入っていった」土地を所有する出張リラクゼーション店経営の女性と風俗店店長は記者の直撃に…暴力団関係者が関与!?_4
井上大輔容疑者(知人提供)

しかし、井上容疑者とみられるこの男は、2年ほど前から見かけなくなったという。それもそのはず、男はAさんの事件後に別の覚醒剤事件で受刑囚として網走刑務所に収監されていた。

知人によると井上容疑者はかつて暴力団員だったが破門となり「引っ越し屋で働いている」と話していたという。入れ墨をチラつかせ、女性関係もだらしなく、覚せい剤も頻繁に使用していたという。

男性が続ける。

「入れ違いで見かけるようになったのが、今一緒に住んでいる弟さんです。弟さんは名古屋で働いていたようですが、コロナか何かの理由で仕事を辞め、このアパートで暮らすようになったと聞いてます。1年くらい前には妹さんが遊びに来ているのも見かけましたよ。異変があったのは、今年の4月の終わりか5月の始め。朝6時ごろ、練馬ナンバーの車がアパートの近くに2台止まって、スーツ姿の男性数人と女性1人がぞろぞろ降りてきて土岐さんの部屋に入ったんです」

おそらく今回の事件で警視庁が家宅捜索をしたのだろう。しかし、その後も土岐容疑者は変わらぬそぶりを見せていたという。

「何人かが折り畳んだダンボールを持って部屋に入ったので、これがテレビで見たことのあるガサ入れってやつだなと思っていました。しかし、その後も普通に土岐さんを見かけるし、私もあまり気にしていませんでした。最後に見かけたのは昨日(6月6日)の朝でした。ゴミ捨てに出たタイミングがバッタリ合って、彼女はいつも通り『おはよ』と声をかけてくれました」

土岐容疑者の部屋からは、可愛がっていたという小型犬とおぼしき鳴き声が玄関越しに聞こえた。インターフォンを押して扉を叩くと、少しだけ扉を開いて中から男性が顔をのぞかせた。土岐容疑者の弟かどうか問いかけたが、男性は答えず、記者が差し出した名刺も受け取らずにドアを固く閉ざした。