青木崇高の徹底した役作り、新垣結衣の特別出演
──沖縄県警の警察官、伊佐兼史役の青木崇高さんは、沖縄出身なのでしょうか?
いえ、沖縄出身ではありません。でも本当に沖縄方言がお上手ですよね。以前、沖縄を舞台にしたTBSドラマ『本日も晴れ。異状なし』に出演された際にかなり練習されたみたいです。方言もすごいし、伊佐っぽい雰囲気もあったので、野木さんの強い希望もあり伊佐役はぜひ青木さんにとオファーして、OKしてもらったという経緯です。
撮影にあたって、より今っぽいリアルな沖縄の言葉を表現するために、沖縄在住の若手俳優、井上あすかさんと福地清さんに方言指導をしてもらいました。現地の人も「ウチナーンチュじゃないか」と間違えるほど、本当にお上手です。
──青木さんは英語もお上手でいらっしゃいましたね。
そうですね。英語にも沖縄の訛りを混ぜなきゃと現場でおっしゃっていて、本当に役作りが細かいな、プロだな、と思わされました。
──新垣結衣さんが特別出演されていますが、どのような経緯で出演が決まったのでしょうか。
実は最初の脚本の構成には、新垣結衣さん演じる精神科医の城間薫はいなかったんです。ただ、沖縄の性暴力の歴史や現状について野木さんが取材していく中で、「性暴力を受けた女性が救われる話まで描かく必要がある」という考えが出てきました。
そこで、城間薫という役が見えてきて、野木さんが「この役は新垣さんに依頼したい」ということでオファーを出したという経緯です。野木さんは新垣さん主演作を何本も書かれていますので、お互いの信頼関係が出演に結び付いたかと思います。
──「月刊BOWOW(バウワウ)」編集長の東諭吉(光石研)がキャバクラで自身が保有している軍用地について語るシーンも、とてもリアルでした。
沖縄の事情を知らない人が聞いたらまったくわからないような話かもしれません。これも取材中に出た話でしたが、ストーリーに直接関係なくとも、こういう細かい沖縄の現状をわずか一言のセリフにすることで、作品がよりリアルになっていくと感じています。