NHK朝ドラに湧く街

「お客さんが倍くらいに増えたのではないでしょうか」

と笑うのは、横浜市鶴見区にある「おきなわ物産センター」の代表取締役社長、下里優太さん(41)。店内には沖縄の食材や雑貨が所狭しと並んでいるが、この店を中心としたエリアがNHK朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』の舞台となっているのだ。その「聖地巡礼」に訪れる人々がいま増えているが、ここは昔から「リトル沖縄」として知られてきた。

「リトル沖縄」があるのは、JR・京急鶴見駅を出て、臨海地域のほうへ15分ほど歩くと見えてくる「仲通り」だ。「おきなわ物産センター」の他にも、沖縄料理の店がいくつか並び、沖縄の「飲む極上ライス」ともいわれるドリンク「ミキ」やグアバなどを売る自販機まである。どことなくのどかな空気は、南国由来のものだろうか。ドラマではこのあたりの1970年代の様子をイメージした街並みが再現されているが、

「当時の街並みや空気に似ていると、昔を知る街の人たちも言うんじゃないでしょうか」(下里さん)

NHK朝ドラ「ちむどんどん」の横浜市鶴見区がリトル沖縄になった理由_1
父の代から鶴見で暮らす下里優太さん

お客で賑わう「おきなわ物産センター」の中をのぞいてみると、黒糖を使ったスナック、タコライスの素やスパム、島豆腐、島唐辛子、それに「鶴見」という銘柄の泡盛、ヤギの肉にゴーヤなど沖縄直送の野菜……島の恵みが盛りだくさんだ。

「人気は自社工場でつくっている沖縄そばです」

それに、これも隣接する自社工場で揚げているサーターアンダーギー、それにソーキやてびち、豚のバラ肉といった総菜もどんどん売れていく。

「豚のバラ肉は、そばだしや醤油、泡盛で味つけするのが沖縄風ですね」

ほかにも沖縄の音楽や雑貨も充実しているが、そもそもなぜ、鶴見は「リトル沖縄」となったのだろうか。

NHK朝ドラ「ちむどんどん」の横浜市鶴見区がリトル沖縄になった理由_2
鶴見区仲通りの中心にある「おきなわ物産センター」。上階が県人会となっている