「転職強者」は、なぜ内定ゼロだったのか?
ですが、ビジネスの世界では「すごい実績信仰」が根強く残っています。
経営コンサルタントの相談者さんも、その一人でした。
その方は学歴よし、職歴よし、コミュニケーション力あり、すごい実績ありの「転職市場の圧倒的強者」でした。しかし、書類選考で落ち続けました。面接になると最終面接どころか、一次面接で落とされます。
原因は「食い違い」でした。求職者目線で考えるすごい実績が、「うちの会社で生かせない」と思われて、見送りになっていたのです。
書類選考、人事面接、現場面接で共通して、企業がすごい実績以上に知りたいのは、再現性。つまり「募集ポジションに近い経験」です。言い換えると「あなたのこれまでの経験で、入社後も発揮できる能力は何ですか?」という問いに対する答えです。
企業はこれまでに、「あんなに期待して採用したのに、期待通りの成果を出してくれない」という苦い経験をしています。そうした経験を通じて「環境が変わっても、同じ結果を出せるとは限らない」と知っています。
仮に誰もが知るような名経営者でも、環境が変われば評判通りの活躍どころか、半分の成果も出せなくなるかもしれません。
人は個の力だけでなく同僚や取り引き先といった環境との相性によって、出せる成果が0にも100にもなり得るのです。