自宅で働けるなら都心に住む必要はない

タケシ(37)は東京の大手通信事業を手掛ける企業にITエンジニア兼マネージャーとして勤務している。妻のヨシミ(36)とは学生時代に仙台で知り合うが、タケシは東京、ヨシミは青森出身だった。やがてふたりは2015年に結婚、東京都豊島区に住み、タケシは都心のオフィスに通う。

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リモートワークをするタケシの元に、長男が時々遊びにくる
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タケシはその前年にスノーボードと観光で初めて訪れた那須塩原の自然の豊かさと町の美しさが印象に残っていた。

2019年に再びキャンプで那須塩原を訪れた際に、友人から移住者の先輩を紹介される。タケシの会社はリモートワークを導入しており、それまでにも地方での生活に漠然とした興味は抱いていたが、実際に移住して暮らす人の具体的な話を聞いたことで、心動かされたという。

そして2020年、コロナ禍で仕事は完全リモートワークとなり、長男(2)も生まれたことで、那須塩原への移住の本格検討を始める。

「自宅で働けるなら都心に住む必要はないのと、コロナ禍にもなり、東京で伸び伸びと子育てできるとはとても思えなくなったことで、リアルに移住を考え始めました」(タケシ、以下同)

しかし青森出身のヨシミは、すぐに賛成してくれなかった。地方暮らしの大変さを知っていただけに、「何もない田舎はつまらないよ」。
そこでタケシは那須塩原市の移住促進センターにオンラインで相談、2020年の秋、現地見学会に家族みんなで参加することに。

見学会はテレビ番組の取材も入り、図書館や保育園など、現地の多くの場所を丁寧に案内してもらったことでヨシミも納得、移住に同意してくれたという。

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春は広々とした菜の花畑でのんびり

「妻は実際に那須塩原という地域を詳しく見て、現地の人の話を聞いて『私の原体験としての田舎とここは違う』と思ったようです。田舎にもいろいろあるんだな、と。ここは観光地なので、アウトレットなど商業施設も充実していますし、大手スーパーやコンビニもあり、徒歩圏内である程度便利な生活ができます。また、東京より子育てしやすそうだというのも、夫婦で移住を決めた大きな理由の一つですね」