女性の犯罪は男性が関わっている場合が多い
――女性の就労はどうでしょうか? 男性よりも厳しそうですが。
実は、女性からの応募はほとんどないんです。女子刑務所にも配っていますし、募集条件が「女性のみ」という会社もあるんですけど、応募は少ないですね。これまで男性は1600人以上応募があるのと比べ、女性は10~20人ほど。内定者はまだ2人です。
――なぜ女性は応募してこないんだと思いますか?
どうでしょうね……。まず、女性って過去を隠して仕事を探す人が多いです。
また、受刑者の人たちから手紙をいただいて思うのは、男性は「拝啓〜」みたいな挨拶文が書かれていたり、「お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」みたいな一文が添えられていたりするんです。
でも女性でそういう書き方をされる方は少なくて、「チャンスを送ってください」とだけ書かれていたり、手紙も何もなく履歴書だけが送られてくる場合が多い。社会経験が乏しく、自立経験がない人が多い印象なので、働く以前に自立のための訓練が必要ではないかという気がします。
――『Chance!!』の今後の展開や将来的なビジョンはありますか?
いま、身元引受や住宅支援や当座の生活費支援などを掲載の必須条件にしていることもあって、業種が建設系に偏ってしまっているんですね。今後は業種を増やしていきたいと思っています。
あとは、この求人誌は関東版ではなくて全国版なんですよ。収容される刑務所は、住所のある県から離れた場所になることもあるので、帰る場所がバラバラなんです。札幌刑務所にいるからって札幌に帰るとは限らず、むしろ関東に帰る人の方が多いので、地域版を作ってもあまり意味がない。今は企業が関東に集中してしまっているので、いつかは全都道府県・全業種の企業を掲載するくらいになれたらと思っています。電話帳みたいに(笑)。
――ひとつの刑務所が『Chance!!』を受け入れたら、自動的に全国に置いてもらえるものなんでしょうか? 現在は全国の刑務所や少年院に配布していますが。
全国の施設に一斉に配布していますが、積極的に利用してくださるかどうかは施設ごとの判断ですね。刑務所の就労支援制度とは関係がないので『Chance!!』は見せていないって施設もありますし、そこは今後の課題のひとつです。ただ、『Chance!!』の他にも刑務所専用の求人誌が出始めていて、選択肢は多ければ多いほうがいいので、今後も全国的に広まるとよいと思っています。