無期懲役でも内定が出る場合も

――『Chance!!』を見て応募される方は、少年院と刑務所どちらが多いんですか?

圧倒的に刑務所です。少年院を出ると基本は親元に戻りますし、再非行防止という観点から施設の指導のもとで行く先を決めていくので、本人は自由に行き先を選べないんです。それと、少年に限ったことではありませんが、若いうちは迎えてくれる人や頼る先がたくさんあるので、まだ余裕があるんですよね。

「いくつになってもやり直せる」は本当か? 日本初の少年院・刑務所専用求人誌『Chance !!』編集長に聞く、受刑者たちの就職のハードル_2
『Chance!!』に掲載されている履歴書

――刑務所から応募してくるのはどういう方ですか?

年齢でいうと、40代・50代の方が一番多いです。もう自分の力ではどうにもならないっていう人が多いですね。無期刑の方からの応募もあって、今までに4人が内定、そのうちの2人は亡くなりました。いずれも短くてもあと7~8年は仮釈放の見込みのない方々です。それでも内定が出るのは、企業側が「欲しい」と思うような、人間的な魅力があるからなんですよね。

――では、出所後に自分で仕事をして生活する“人生のやり直し”。何歳までならやり直せると思いますか?

出会いと居場所があれば、何歳でもやり直せると私は思います。ちなみに、先ほどの無期刑で亡くなった方はいずれも70代でした。保護司(犯罪者の社会復帰を支援する民間のボランティア)の人も「正気ですか? 刑務所を出られる頃は車椅子だと思いますよ」と言っていたそうですが、社長の意志は変わらず。働けなくなったとしても、身元引受人になって住む場所を用意すると。罪を犯した人も、そこから謙虚に誠実に生きていたら、見てくれる人はいるんじゃないかと思います。

――年齢で諦めなくていいとすると、やり直しのハードルが一番高いのはどんなことでしょう?

常習性、依存性の高い犯罪歴のある人の場合は簡単ではないですね。覚醒剤や性犯罪、軽犯罪として軽く見られがちですけど窃盗も常習性が高いです。殺人罪の場合は「接し方がわからないから」と避けられる傾向にありますが、再犯率はものすごく低いですね。